「若者」と「献血」をつなぐ

若者が想うつながるカタチ
献血でつながり続ける若者たちの想い

札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」 平成29年度副代表 北海道科学大学 前田優太(まえだゆうた)さん

若年層を対象にして、献血思想の普及や献血者増加を目指し活動をしている、学生ボランティア団体があります。時代を超えてつながる若者たちの活動が、献血という形で誰かの「いのち」が救えることを知って欲しいー。その想いを伺いました。

札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」
平成29年度副代表
北海道科学大学 前田優太(まえだゆうた)さん

大学1年時に友人に誘われ加入したボランティアサークルでの連携活動をきっかけに、「トマトクラブ」で活動を始める。2年時からは現在の副代表を務める。北海道科学大学保健医療学部2年生。

活動とつながる自身の成長「社会への糧」にも

―札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」設立の経緯を教えてください。

 活動のはじまりは昭和35年に青少年赤十字団員の高校生たちが中心となった、献血運動だったそうです。そのきっかけは「買血」が問題でした。当時は不健康な常習売血者の血液の輸血により、血清肝炎に感染する患者が多発し、深刻な問題となっていました。これに学生たちが立ち上がり、現状の理解を訴え、献血の呼びかけなどを行ったことで、マスコミに取り上げられることで、活動が全国的に広がっていくことにつながりました。
 全国各地で結成された20団体もの「献血学生連盟」が、昭和39年には統一されて「全日本学生献血連盟」となり、これが「学生献血推進協議会」へと移行しました。札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」として団体が発足したのは昭和60年代頃からで、もともと「赤十字奉仕団」(※)としての活動をしていた若者が、買血追放の為の運動を起こし、立ち上げたと聞いています。
※赤十字活動の推進役として各種ボランティア活動を行っている組織

―札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」で活動することの魅力は何ですか?

 「トマトクラブ」の活動を通して、社会に出た時に役立つスキルが身につくことです。毎年、夏と冬に行う献血への理解協力を促すキャンペーンや、年に3回開催する北海道学生献血推進代表者会議などさまざまな活動を行っています。
 キャンペーンは1~2カ月前から企画し、準備から当日の実施まで全て学生で行っています。自分たちで全ての準備を行うのは大変ですが、イチから準備し、運営の仕方などを考えることで、自分のスキルアップにつながります。前年度と比べて、活動に参加してくれる学生が増えたこともあり、とてもやりがいを感じます。
 また、自分は大学で義肢装具学科に在籍しているのですが、「トマトクラブ」の活動では看護師の方とお話したりする機会もあり、直接的ではないですが自分の学びとつながりを感じる部分もあります。
 他には旭川や釧路など、各支部の代表者との全道会議が終わった後の懇親会で、同じ年代のメンバー同士が仲良くなれることも楽しみのひとつです。懇親会の翌日は、会議の雰囲気も良くなり自然と話が盛り上ります。「学生に、献血の必要性を伝えるには、どうしたらいいか?」など、活発な意見交換ができ、解散する時には寂しさを感じることもあるくらいです。

(写真左)所属する大学も学年もさまざまな「仲間」。献血推進を目標につながっている。(写真右)セミナーの舞台に立ち発表することも学生として過ごす日常では体験できない貴重な機会。 (写真左)所属する大学も学年もさまざまな「仲間」。献血推進を目標につながっている。(写真右)セミナーの舞台に立ち発表することも学生として過ごす日常では体験できない貴重な機会。

若者から若者へ伝える。献血でつながる「いのち」

―「若者」と「献血」をつなぐ活動について教えてください。

 市内の大学に来たバスの中で行う学内献血の際に、ティッシュ配りや声掛けを行う他、大学のボランティア団体などに出向いての献血セミナーを開催しています。
 セミナーは、一昨年から若年層の献血推進を目的に行っているのですが、YouTubeでも観ることのできる3分間の短い動画やDVDを使いながら説明し、献血が不足した際に起こる問題や、高校生になる16歳という年齢から献血に協力できることなどを説明して、献血の必要性を訴えています。
 最初は自分自身も言葉足らずで、なかなかうまく献血の必要性を伝えることができなかったのですが、毎回セミナー終了後に、どこが悪かったかなどを反省し、練習を重ねた結果、最近はセミナー後のアンケートで「献血をしてみようという気持ちになった」という言葉を見つけると、少しは伝えるスキルがアップしたのかなと思います。前回の全道代表者会議後の懇親会で「SNSの活用が、献血者の増加につながるのでは?」との意見があったので、早速SNSの発信も始めました。特にTwitterでは若年層の反応がとても良く、ツイートを見た人から「献血します!」というコメントが来たりしています。知ってもらうことが献血者を増やす第一歩ですし、同じ年代だからこそ伝わりやすい部分もあると思います。

―運営にはどのような方が関わっていますか?

 「トマトクラブ」として札幌で活動している学生が約40人です。札幌の他、北海道内の5支部を合わせると100人ほどになります。在籍している大学もさまざまですし、短大・専門学校生も入ることができます。特に札幌以外の支部では看護学生のメンバーも多いです。

(写真左)2日間にわたる全道会議ではグループ討議などが行われる。テレビ会議で開催することも。(写真右)啓発活動では「学生の団体があるんだね!」という驚きの声や励ましを受けることも。 (写真左)2日間にわたる全道会議ではグループ討議などが行われる。テレビ会議で開催することも。(写真右)啓発活動では「学生の団体があるんだね!」という驚きの声や励ましを受けることも。

―活動に参加して想うことはありますか?

 キャンペーンやセミナーなどで「祖父が輸血を受けています」とか「自分は輸血を受けているから献血ができないんだ」など、献血を受けている方と直接お話する経験を通して、人のいのちに直接かかわるボランティアなんだという責任を感じます。ライオンズクラブの献血推進セミナーなどで医師の講演を聞く機会もあるのですが、献血と医療の関わりを学んでその想いがより強くなりました。

先輩からつながる願い。後輩へつなげたい想い。

―活動を続ける上で今後の目標はありますか?

 毎年各都市で、全国7ブロック学生献血推進協議会の代表者が集まり、全国会議が開催されます。今年は札幌開催ですので、「トマトクラブ」の次年度(4月)からの新代表西山翔太が委員長を務めます。新代表には委員長として準備・運営を頑張ってほしいです。自分は4月からは顧問となります。しっかり仲間をフォローしていきたいと思っています。
 今後も後輩には、先輩方が築いてくれたものを崩さず引き継いで、更に向上してもらえれば嬉しいです。

札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」 (団体ページへ)

札幌学生献血推進協議会「トマトクラブ」
■ 住所 札幌市西区二十四軒2条1丁目1-20 北海道赤十字血液センター内推進課
■ 電話 011-613-7162
■ メール tomato.sapporo@gmail.com
■ 時間 9:00~17:30(月曜~金曜)
■ ホームページ http://tomatoclub.jugem.jp/
■ Twitter https://twitter.com/tomato_club_821

今後の開催予定

学生献血推進協議会の全国会議が平成30年8月20日(月)~22日(水)に開催。最新情報はTwitterへ。問い合わせはメールや電話で受け付け。

取材を終えて

社会貢献を目的とした活動を通じて、自分自身の社会人としての成長も見据えている副代表の方の言葉は、強く、たくましく響きました。ひとりひとりの「いのち」と関わる献血という行為の広がりのために、受け身ではなく自分たちからつながっていこうとする前向きな行動力がすばらしいと感じました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2018年3月7日現在の情報です。