自然に触れ、遊び、成長していく子どもたち
現代の子どもたちは、自然の中で遊ぶ機会が少ないと言われています。しかし、山、川、森、そして海といった大自然とつながり遊ぶことで、心も体も成長する子どもたちの姿が札幌にあります。その活動への想いを伺いました。
札幌まるやま自然学校
代表 髙野克也(たかのかつや)さん
ネイチャーガイドや子どもの自然体験活動、森づくりプログラムに携わる中、2015年に「札幌まるやま自然学校」を設立。代表を務める。都市と自然が密接に結びつく札幌で、子どもから大人まですべての人を対象とした自然体験活動を推進している。木育マイスター等。
雪遊び、川下り、登山―。自然を舞台に展開
―札幌まるやま自然学校を立ち上げた経緯を教えてください。
NPO法人のネイチャーガイドとして活動していた当時、札幌での子ども事業や自然体験活動を担当したことがきっかけで、そうした活動をさらに発展させたいと考え「札幌まるやま自然学校」を設立しました。「子ども時代に自然に触れる機会を増やしたい」という想いのもと、子どもたちが自然の中で大いに遊び成長していくことを目指し活動しています。
(写真左)雪まみれになってソリ滑りを楽しむ。夢中になって遊ぶ姿は爽快。(写真右)森の中には発見がいっぱい。親子で散歩を楽しみながら、本物の自然に触れる。―自然体験とは、どのようなことをするのですか?
3歳以上の子どもと保護者を対象に、親子で森や川で遊んだり、ラフティングやキャンプ、長距離ウォークなど、自然を舞台にさまざまな活動をします。札幌をはじめとする道内の低山などに登る登山活動では、仲間とのコミュニケーションや協力意識が高まり、登り切った後の達成感は特別なものです。また、小学生の放課後の居場所づくりとして、花びら染めや魚とり、火おこし、リース作りといった季節に応じた自然体験の活動を行っています。
気軽に参加できる内容で、子どもと自然をつなぐ
―活動する上で、工夫していることはありますか?
「自然体験に興味はあるけれど…」という親子が自然に親しめるよう、薪割りなどの気軽に参加できる内容にしています。雪遊びの方法を知らない、自然の中で遊んだ経験が少ないお父さん、お母さんも多く、そうした親子が参加しやすい雰囲気づくりを大切にしています。また、今の子どもたちは習い事などに忙しく、自然の中で発散することが必要だと感じています。子どもたちの「とにかく走りたい!」「発散したい!」という溢れる欲求を開放してあげることで、疲れた顔が笑顔に変わっていきます。勉強や習い事に追われがちな現代の子どもたちにとって、心を育む居場所づくりとしての役割も果たせればと考えています。
(写真左)川下りでは滝に打たれる場面も。「気持ちいい!」とご満悦。(写真右)札幌の農園で芋掘り体験。「こんなに大きいの、見つけたよ!」自然体験を通し、感性や先見力、想像力を養う
―自然とつながることは、子どもにどのような影響を与えますか?
兄弟が少なかったり、地域のつながりが希薄だったりという理由から、異なる年齢の子ども同士で遊ぶ機会が少ないことも今の子どもたちの特徴です。札幌まるやま自然学校では、異年齢の子どもたちが一緒に活動することを大切にしています。例えば、木登りを知らない小さな子どもに、年上の子どもが木登りをする姿を見せることは大切で、小さな子どもは「こうやればいいんだ」という気づきを得ます。また、自分ができるようになった時には年下の子の面倒を見るといった心の成長を見せてくれます。スタッフやボランティアの大学生、高校生などと時間を共にすることも、子どもの成長に欠かせないと考えています。自然と触れ合うことは、山を登れるようになるといった体力的な部分だけではなく、自然を感じる感性、危険を察知する力、先を見通す力、想像する力など、子どもたちに多くの力を与えます。それは、自然の中だけではなく、日常生活にも結びついています。
―今後の目標は何ですか?
保護者も巻き込んだ活動にしていきたいと考えています。子どもたちが、他の子のお母さん、お父さんから受ける影響も大きいからです。そして、親同士のつながりが生まれ、活動に積極的に加わってもらいたいと考えています。
札幌まるやま自然学校 (団体ページへ)
■ 電話 | 090-7516-5661 |
■ メール | s.maruyama.n.s@gmail.com |
■ ホームページ | https://maruyama-ns.jimdo.com/ |
https://facebook.com/maruyama.ns/ |
今後の開催予定
自然体験活動は年間を通し、月1回活動。詳細は団体ホームページへ。放課後活動は毎週火・木曜日に活動。問い合わせ、参加の申し込みはホームページの問い合わせフォームから、またはメール、電話で受け付け。
取材を終えて
子どもの遊びとは、誰かにやらされるものではなく、自発的に「やりたい」という感情から出てくるもの。そんな気持ちを自然の中で発散しながら遊ぶことで、先を見通す力、物事を想像する力が身につき、それは日常生活の中でも役立っている、という言葉が印象的でした。札幌の自然と触れ合い、仲間とつながり協力して活動することは、子どもたちの心も体も大きく成長させることだと感じました。
※2017年10月26日現在の情報です。