白石郷土館の開設まで

未来を紡ぐ人
白石区ふるさと会歴史文化委員会委員長の柴元博さんにお話を伺いました。

白石区ふるさと会歴史文化委員会 委員長 柴元博(しばもとひろ)さん

白石区ふるさと会歴史文化委員会
委員長 柴元博(しばもとひろ)さん

2006年から白石区ふるさと会の活動に参加。2014年に歴史文化委員会の委員長に就任。2016年11月、委員会のメンバーとともに白石区複合庁舎内の白石郷土館の開設に参画。
その他、白石区町内連合会連絡協議会会長としても白石区のまちづくり活動に関わっている。

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白石郷土館は、白石区の文化や歴史を伝えていきたいというたくさんの思いから生まれました。

―昨年、白石郷土館が白石区複合庁舎内に開設されたわけですが「まちの歴史を大切にする地域」という印象を改めて受けました。

 そうですね。白石区は元々地域を愛する方が大勢いるまちだと思います。白石区ふるさと会は郷土意識を高め、相互の連帯意識を高めるという願いから誕生したのですが、歴史文化委員会は、その中でも特に歴史に深い思い入れのあるメンバーが集まって、白石郷土館の開設と古式鉄砲隊の設立を目標に発足しました。

―歴史文化委員会には2つの部会があるということですが。

 はい。歴史文化委員会は、白石区郷土資料館設立検討部会(以下、郷土館部会)と宮城県古式鉄砲研究会札幌分会設立検討部会(以下、古式鉄砲隊部会)の2つの部会で構成されています。郷土館部会については、今後は白石郷土館の展示更改や維持管理がテーマになります。古式鉄砲隊部会については、未だ目標達成に至っておりませんが、具体的には2011年より白石区と縁の深い宮城県白石市の片倉鉄砲隊(宮城県古式鉄砲研究会)の指導・助言の下、「さっぽろ白石片倉鉄砲隊」の設立に向けた活動を展開中です。その活動概要は、2013年から行っている白石市白石城内での黒色火薬を用いた年2回の火縄銃演武、年1回の仙台・青葉まつりでの火縄銃演武の他、2016年には北海道公安委員会の許可を受け、初めて「白石区ふるさとまつり」で、黒色火薬を使用した火縄銃演武を披露しました。

―その歴史文化委員会発足の背景には、どのような思いがあったのでしょうか。

 白石区の先人が築いた伝統と文化を区民の皆様に知っていただき、それらを未来に引き継ごうということがそもそもの活動の趣旨で、2011年5月に発足しました。文化や歴史を日頃から伝えていきたいという思いがあり、2016年11月、念願叶って白石区複合庁舎1階に白石郷土館を開設することに貢献できました。

ふるさとを思う気持ちが作った場所です。

約90冊以上の文献を参考に作成し、推敲を重ねて作られた解説パネル。白石への入植から札幌市との合併に至る歴史が分かりやすくまとめられています。 約90冊以上の文献を参考に作成し、推敲を重ねて作られた解説パネル。白石への入植から札幌市との合併に至る歴史が分かりやすくまとめられています。

―白石郷土館開設はどのように実現していったのでしょうか。

 2011年12月に第1回歴史文化委員会が行われ、白石区複合庁舎完成に合わせて白石郷土館開設を目指す計画が話し合われました。その後、2012年3月に当時の上田市長宛てに白石区ふるさと会会長と8人の連合町内会長が連名の要望書を提出しました。今までは区役所が、庁内の廊下などに年表や簡単なパネルを飾る程度だったので、白石区役所移転の話を受けてぜひとも新しい庁舎の中に場所をいただきたいということをお伝えしたわけです。そして、要望書が認められて今日に至ることができました。

 白石区ふるさと会は、総務委員会、事業委員会、ふるさとまつり委員会、歴史文化委員会、広報委員会、5つの委員会からなりますが、郷土館竣工の全体の取りまとめは、白石区ふるさと会を代表して総務委員会が、発注や納品検品は5つの委員会の委員長が、募金と電子表示(写真中央)については広報委員会が助力し、そして、白石郷土館の構想やパネル等の展示物の企画は、私たち歴史文化委員会の郷土館部会が主導しました。月1回のペースで会合を開き、その他に随時見学や調査を行いながら展示内容を企画していきました。

―その展示内容について、工夫された点などを詳しく教えていただけますか?

 やはり、白石を開拓した仙台藩白石城12代当主 片倉小十郎邦憲の旧家臣が乗船していた咸臨丸(かんりんまる)と庚午丸(こうごまる)に関する展示は見どころだと思います。咸臨丸が木古内沖で座礁して、乗員は船を離れるために荷物を捨てざるを得ませんでした。後に回収できた荷物は一部だったのですが、その中の一つに、最初に白石に入植した榊原家の鎧と兜がありました。これを白石郷土館に展示しています。榊原家の子孫にあたる方から寄贈されたものです。

 また、特徴ということで言えば「白石レンガ」に関する展示も挙げられると思います。北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)に使用している赤レンガの多くは、白石区の鈴木レンガ工場で作られています。白石郷土館には、レンガを作る作業に取り掛かる前の記念写真も展示しています。作業に関わった方は全部で150名ほどいたと伝えられています。

区民の皆さんの意見を反映しながら育てていきたいです。

旧白石城主12代 片倉小十郎邦憲の旧家臣団が乗船した咸臨丸と庚午丸の模型や、彼の祖先である白石城主 初代 片倉小十郎景綱の甲冑(レプリカ)も展示されています。 旧白石城主12代 片倉小十郎邦憲の旧家臣団が乗船した咸臨丸と庚午丸の模型や、彼の祖先である白石城主 初代 片倉小十郎景綱の甲冑(レプリカ)も展示されています。

―開設にあたって寄付も募ったということをお聞きしました。

 本当に皆さんの温かい愛情といいますか、寄付をいただきまして、このようなすばらしい施設ができたと思っています。区民・企業・団体の皆様の寄付によって造られた施設なので、大人から子どもまで分かりやすい展示にすることを意識しました。解説パネルの文字も当初は細かく小さかったのですが、読みやすくするために大きな字に変更しました。

―来館者からの反応はいかがですか?

 オープンして1週間くらいであっという間に来館者が1,000名を超えまして、現在は1日大体60名、多い時で100名くらいの方に来館いただいています。ただ、現在は土日が原則閉館(※)で、区民の方々からは土日にも開館してほしいという声もあがっています。まずは、より多くの方に見てもらうための体制を整えなくてはと思っています。
※2017年2~4月は第2土曜・日曜のみ臨時開館(10:00~16:00)

―今後、どのような展示を考えていますか?

 1871年の入植から、1950年に札幌市と合併するまでの歴史や発展の様子が分かる解説や史料、これを我々は基本展示と呼んでいますが、今後はそれとは別に企画展示という、テーマを絞った展示も考えています。基本展示は1950年で終わっていますが、その後も東米里の水害や白石区ふるさと会の発足など色々なことがありましたから、そういった内容は、新たな展示企画を立ち上げて紹介することになると思います。

 今後の展示企画についてはもちろん、基本展示の解説内容についても来館者から指摘やアドバイスなど意見をいただき、反映しながら作っていきたいと思っています。

白石区ふるさと会歴史文化委員会 (団体ページへ)

白石区ふるさと会歴史文化委員会

当委員会活動を通じて、区民の郷土意識の高揚を図るとともに、区民のふるさとを愛しその更なる発展を願う気持ちを後の世代に引き継いでいくことを念願しています。

白石郷土館

■ 住所 札幌市白石区南郷通1丁目南8-1白石区複合庁舎1階
■ 時間 月曜~金曜(祝日及び年末年始を除く)8:45~17:15

◎お問い合わせ
白石区ふるさと会事務局(白石区市民部総務企画課)
札幌市白石区南郷通1丁目南8-1 白石区複合庁舎4階
電話011-861-2405 / FAX 011-861-2586

(取材・文・編集 総合商研株式会社)
※2017年3月24日現在の情報です。