原木栽培のしいたけ

まちづくりクリップ
北海道の木で、丹精込めて育む。東米里しいたけ村の原木栽培。

東米里しいたけ村の栽培シーン

 現在スーパーなどに出回っているしいたけの多くは菌床栽培。(おがくずを固め栄養剤を入れた環境の中で栽培されます。)一方、原木栽培のしいたけは、直接木に植菌をし、木が持つ養分だけで育てられます。東米里しいたけ村(札幌市白石区)では、しいたけ農家のノウハウを受け継ぎ、昔ながらの原木栽培を行っています。そしてここは、さまざまな障がいを持つ人が、みんなで協力し合って働ける場所でもあります。木肌の感触や水の冷たさ、北国の四季を感じることができる環境の中で、自信を持って生み出される原木栽培のしいたけ。豊かな味と香りや食感に魅せられた個人やお店、施設などに、ファンがひろがっています。

植菌して、1年間寝かせます。

 年間8,000~12,000本の木材を調達し、しいたけ菌を植菌します。原木には、北海道産のミズナラを使用。ビニールハウスの中で温度・湿度を調節しながら、1年位かけて菌を全体(皮と小口の間)にまわします。また年に数回、積んである原木をハウスから出して、位置を入れ替えします。木を運び、薪をつくり、除雪し、しいたけが育つ環境をみんなでつくります。写真は放射状にしいたけ菌が回った状態の原木小口。

※ 木の表面にある白く丸い部分が植菌穴。
  菌を詰めて栓をしてあります。
植菌して、1年間寝かせます。
水につけてしいたけ菌を起こします。

 しいたけ菌がまわったら、いったん原木を冷たい水につけます(写真左)。これはいわばショック療法のようなもので、寝ている状態のしいたけ菌がびっくりして、その後、棚に並べて(写真右)1週間くらいでしいたけの芽(菌糸の塊)が出ます。原木は、大切に人の手で扱い、日付順に棚に並べ、たくさんの人の目に注意深く見守られて育ちます。

朝どりを、自信を持って出荷します。
朝どりを、自信を持って出荷します。

 しいたけは、芽が出て1~2日で大きくなります。商品としては、ひだがどれくらい開いているかで価格が決まります。少し茶色っぽいのが、こちらのしいたけの特徴です。しいたけ村メンバーの未来を拓く商品だから、自信を持って付加価値の高い商品作りを目指します。
 365日スタッフが見守り、毎日朝6時に収穫した新鮮なしいたけを、できるだけ直接お届けできるお客様に、お渡ししています。原木しいたけは柄の部分も食べることができます。

朝どりを、自信を持って出荷します。

特定非営利活動法人 陽だまり (団体ページへ)

NPO法人 陽だまり しいたけ村
■ 住所 札幌市白石区東米里2177
■ 電話/FAX 011-871-6410
■ 時間 月~金曜 9:00~15:00
※事務所(直売窓口) 9:00~17:00(365日営業)

◎お問い合わせ
しいたけ村 施設長:武藤 融太(就労継続支援B型)
sunnyplace@tiara.ocn.ne.jp

身体・知的・精神障がい者が
年齢問わず協力し合って働ける場所です。

 今から12年ほど前、特別養護学校の多くが札幌から離れており、地方で卒業した子ども達が札幌に戻ってきた時、就職先がないという状況がありました。
 そんな折、ここでしいたけ農家をしていたご夫婦と出会い、原木栽培という昔ながらの作業が、逆に障がいを持った方の仕事になるのではないかということで、しいたけ村がスタートしました。
 近年では、親の方々も高齢化していく中で、しいたけ村に通ってきている人たちが自立して、働きながら生活していける場所があればお互いの距離も縮まるのではないかということでグループホーム(フレンドリーハウス)という生活の場づくりも始めています。
 また、地域の子どもたちを対象に、しいたけ狩りなどの形で、原木栽培のしいたけを知っていただく取り組みをしています。


活動概要

  • ビニールハウス6棟、休憩室、事務所(2階建てプレハブ)2棟
  • 夏場は冬に向けたストーブ用薪材の準備、畑作業、切干大根、漬物作り、冬場は雪かきを行ってます。
  • そのほか、第2作業所ではチーズ・ベーコンの燻製、クッキー(おから、しいたけパウダー入り)作りを行っています。
(取材・文・編集 総合商研株式会社)
※2017年1月13日現在の情報です。