映画の楽しさを、バリアフリーで

まちづくりプチ体験
ボランティアグループ 「ムービー北海道」の活動に参加しました。

ボランティアグループ 「ムービー北海道」の活動に参加しました。

どんな活動をしているの?

 「映画をみんなで観よう」を合言葉に、日本映画に字幕や副音声を付けて上映する活動をしているムービー北海道。視覚や聴覚に障がいのある方も同じ場面で笑い、泣き、一緒に映画を楽しめるように、26年前からこの活動を続けていて、これまでに扱った映画は167本に上ります。実際に字幕と副音声を付ける作業を、札幌市在住の久保さんが体験しました。

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こんなプチ体験をしました! こんなプチ体験をしました!

耳が聞こえない方のために字幕を付けます

 扱う映画が決まったら、まず字幕を付ける作業から始めます。すべてのセリフを字幕に起こす“原文取り”という作業は、担当するメンバー2名がそれぞれ自宅で行うことが多いため、今回は、その原稿を元に専用のソフトを使ってパソコンの画面を見ながら字幕を入力していく作業を体験しました。

 誰が話しているのか分かりやすくなるように、登場する人物ごとに字幕の色やフォントを細かく設定していきます。スムーズに作業ができるようになるまでには数年かかるのだそうです。久保さんも慣れない操作に苦戦しながら、一つひとつ作業を進めていきます。

耳が聞こえない方のために字幕を付けます
目が見えない方のために副音声の解説を加えます

 脚本が用意されていないので、セリフ以外の情景を伝えるための副音声を考えるところから始めます。繰り返し何度も映画を観ながら原稿を作ります。原稿が出来たら、吹き込み担当の方が1週間くらい練習した後、録音します。

 そして、収録した音声と原稿を見ながら、映画の場面に音声を当てはめる作業が始まります。こちらも専用のソフトを使います。副音声を入れるタイミングや間のとり方、劇中の音楽に合わせた音量の調整などを話し合い、知恵を出し合いながら3人1組で進めていきます。

目が見えない方のために副音声の解説を加えます
誰でも一緒に楽しめる映画会です

 一つの作品に字幕や副音声を付けるまでにかかる期間は2~3カ月ほど。完成した映画は、年に4回程度、札幌市生涯学習センターちえりあなどで上映されます。

 上映会で、目が見えない方から「映像が見えたようだった」と言われたり、耳の聞こえない方から「字幕の表現で物語を理解できた」という感想をもらうその一瞬の喜びのために地道な活動を続けています。今回、久保さんが作業をお手伝いした作品も、どこかで笑顔や感動を生むときを待っています。

誰でも一緒に楽しめる映画会です

体験を終えて体験を終えて

普段あまり関わることがない活動だったのでよく分からないことも多かったのですが、映画を同じ空間で、みんなで楽しめるように、こうやって目の見えない人や耳の不自由な人のために、活動しているのはすごいなと思いました。
字幕や副音声の細かな調整は地道で大変な作業だと感じました。

ボランティアグループ 「ムービー北海道」 (団体ページへ)

ボランティアグループ 「ムービー北海道」

■ 住所 札幌市手稲区新発寒4条4丁目9-7
■ 電話 011-681-8790
※詳細はお問い合わせください

聴障者に字幕を、視障者に副音声を付けて
みんなで映画を楽しめるように

 1990年に聴障者9名・健常者9名で発足。日本で初めて、ボランティアとして日本映画に字幕と副音声を付ける活動を始めました。現在も会員の半数は視聴覚障がいのある方で、お互いに自分の出来ることで、力を出し合いながら、地域の中で共に楽しみを感じられるようにと、それぞれ知恵を出し合って活動しています。

 ノーマライゼーション・バリアフリーといわれながら、障がいのある方々と共に、という活動の輪はなかなか広がりませんが、ささやかな上映会での実現を目指しています。


活動概要

  • 字幕、副音声付きの上映会開催
    • 上映会はちえりあホールで年4回ほど開催。字幕や副音声を付ける作業は、月5~6回ちえりあ5階の映像編集室などで行っています。
  • 学習会の実施
    • 月2回指点字や触手話の学習会を行うなど、盲ろう重複障がい者の方々の交流学習に取り組んでいます。
(取材・文・編集 総合商研株式会社)
※2017年3月24日現在の情報です。