まちづくり活動【スキル編】

おしえてQ&A
まちづくり活動の会計に関することについてお聞きしました。

税理士・特定非営利活動法人エーピーアイジャパン理事長瀧谷 和隆さん

答えてくださったのはこの方です

瀧谷 和隆(たきやかずたか)さん
(税理士・特定非営利活動法人エーピーアイジャパン理事長)

 NPO等の会計・税務の支援のため、全国の中間支援センター等で講師として活躍。札幌市市民活動サポートセンター(以下サポートセンター)においても、「NPOマネジメント講座」等で、税務・会計に関する講師を勤めていらっしゃいます。

「会計」と聞くと難しそうですが、小さな任意団体でも必要? Q:「会計」と聞くと難しそうですが、小さな任意団体でも必要?

A:「会計」とは、団体の活動の実態を説明する手段の一つです。

「会計」とは、団体の活動の実態を説明する手段の一つです。

 会計の業務には、領収書など資料を整理し、記録し、集計し、報告し、分析するまでの一連の流れがあります。また、帳票に記された金額(貨幣価値)は、団体活動の実態を表す手段の一つとなります。

 まちづくり活動団体にとって、「会計」の目的は大きく2つ。

 一つは、内部管理(団体内部の人たちへ報告をするため)の会計。自分たちの共有の財産を正しく管理・保全したり、自分たちの支払い能力を把握して資金繰りしたり、団体の構成メンバーが活動状況を正しく把握して経営の意思決定をするための会計。

 もう一つは、外部報告(団体の外部の人たちへ報告するため)の会計。例えば、寄付提供者や所轄庁(北海道や札幌市等)、税務署、助成財団や金融機関などに団体の活動状況を報告するためで、世間に対して団体の活動内容を正しく伝えるのが目的となります。

 団体活動の継続や発展のために、最も欠かせないスキルの一つが「会計」であると考えられるため、団体の規模に関わらず、会計処理は大切です。

会計を担当するのは初めてで不安です。何から始めればいいですか? Q:会計を担当するのは初めてで不安です。何から始めればいいですか?

A:活動内容に合わせた「簿記」を始めましょう。

会計を担当するのは初めてで不安です。何から始めればいいですか?

 まずは、団体活動の収入と支出を、いつでも誰にでもわかるようにすることが必要です。そのためには、まず日々の取引をルールに基づき記録する必要があります。

 正確に記録し集計するための記帳法を「簿記」といいますが、単式簿記と複式簿記、ふたつの方法があります。資産状況が比較的単純な団体活動や家計簿などでは単式簿記が使われることが多いのですが、NPO法人格の取得を考えているような場合には、複式簿記での記帳を考えた方がよいでしょう。


 NPOの活動を正しく支援者にわかりやすく伝えるためには、2009年3月、全国のNPO支援センターによって結成されたNPO法人会計基準協議会が作成した「NPO法人会計基準」があります。webサイト(※)に、実務担当者向けのガイドラインなどもわかりやすくまとめられていますので、基本を知りたい時、まずは確認してみるのも一つの方法です。


※「みんなで使おう!NPO法人会計基準」
http://www.npokaikeikijun.jp/

サポートセンターの「税務・会計相談」では、どんな相談ができるの? Q:サポートセンターの「税務・会計相談」では、どんな相談ができるの?

A:広くNPOの資金や税金に関することにお答えします。

サポートセンターの「税務・会計相談」では、どんな相談ができるの?

 サポートセンターの相談は、市民活動の実践者が対応する市民活動相談(全般)と税理士、弁護士が対応する専門相談があります。専門相談のうち、税務・会計に関することは、北海道税理士会に所属している税理士が担当しています。

 NPOは活動のための資金源として、会員からの会費や寄付、助成金などを利用しているケースが多いため、日常の経理の方法から税金・課税に関する相談、スタッフの給与やボランティアの謝礼に関することなど、幅広い相談内容がみられます。事業報告書を作成する時期には、活動計算書や決算書の書き方などの相談も増えます。最近は、クラウドファンディングなどで資金を得るケースも増え、会計処理に迷うという声も聞こえます。


 また、サポートセンターではNPOの基盤強化を目指すことを目的とした「NPOマネジメント講座」を開催しています。「活動計算書」や「事業報告書」の書き方など、税務・会計に関するテーマも設定しています。相談事業と講座の両面からみなさんの会計事務のスキルアップをお手伝いします。

札幌市市民活動サポートセンター【スキル編】

<<専門相談/税務・会計>>
札幌市内で活動するまちづくり活動団体のみなさまを対象とした、税務・会計の専門相談窓口(無料)を設けています。

    主な相談内容
  • NPO法人の会計に関すること(全般)
  • どんな経費が課税対象になるの?
  • 経費の処理の方法はどうすればいいの?…など

■ 年間15回開催
  相談時間 月曜 午後の部/夜間の部
土曜 午前の部
※1回45分程度。時間など詳細はお問合せください。
■ 相談方法 面談のみ(※要予約)
■ 相談員 北海道税理士会 税理士
■ お申し込み方法 電話・窓口(事前予約制)
大まかな相談内容とともに、相談日前週の月曜日までにお申込みください
■ 相談予約受付電話 011-728-5888

■ 場所 札幌市北区北8条西3丁目 札幌エルプラザ公共4施設2階
■ 時間 月曜~土曜 8:45~22:00
日曜・祝日 8:45~20:00
■ 休館日 12月29日~1月3日 ※臨時休館日あり

◎お問い合わせ
shimin-1@shimin.sl-plaza.jp

(取材・文・編集 総合商研株式会社)
※2017年3月24日現在の情報です。