藤女子大学の学生たちが「麻生キッチンりあん」の取組みをご紹介します。
藤女子大学 人間生活学部 食物栄養学科
手前から隈元ゼミの栗井さん
三上さん、渡邊さん
「麻生キッチンりあん」のルーツとは!?
「麻生キッチンりあん(以下、りあん)」は、2012(平成24)年、藤女子大学(人間生活学部食物栄養学科隈元ゼミ)の先輩たちが「商店街再生事業学生アイデアコンテスト」に応募したことがきっかけで誕生したコミュニティカフェです。ゼミのメンバーは毎年、あさぶ商店街のみなさん、特定非営利活動法人Kacotam(以下カコタム)のボランティアの方たちと協力して二つの活動を行っています。
活動のひとつは、毎週月曜日に行っている、地域の方へのワンコインランチの提供。そしてもうひとつは、ひとり親家庭の子どもたちを対象に、水曜日と土曜日に行っている、学習支援時の食事提供です。それぞれの活動にはチーム名があり、ランチ提供は「藤麻人(とまんと)」、学習支援時の食事提供は「へるすたでぃ」として、4年生皆でシフトを組んで取り組んでいます。
私たちが考えたランチを提供しています!
私たち藤女子大学のグループ「藤麻人(とまんと)」は、毎週月曜日の11:30~15:00(ラストオーダー14:30)、手作りのランチをワンコインの価格で提供しています。月に1度開かれるメニュー会議にも参加し、お客様の声も教えていただき、日替わりシェフの一員として頑張っています。
献立は、カロリー600kcal、塩分3g以下、野菜100gを基本に、栄養バランスを考えて作ります。お客様からは「ヘルシー」「家庭的」と、なかなか好評です。一方、ワンコイン料金の予算内で献立を考えなくてはいけないので、少しだけ経営の難しさも知りました。
りあんでは、私たち藤麻人の他にも、お料理自慢の主婦の方や、以前お店を出したことのある店長さん、サポートしてくださる商店街の方など、幅広い世代の人と仲良くなることができます。最初は緊張するけれど、名前を覚えてもらって、世間話もできるようになり、とてもうれしいです。地域のイベントにも時々参加して交流がひろがっています。
みんなで夕ごはんを食べてから、勉強します。
アイデアコンテストで準グランプリをいただいた内容は、「商店街の空き店舗を活用して地域全体で見守ることのできる子どもたちのための居場所づくり」でした。その背景には、当時、カコタムのボランティアに参加していた先輩たちの「子どもたちの貧困問題解決のためには『居場所』が必要では」という思いがあったのだそうです。
カコタムは、ひとり親家庭などの子どもたちを対象に「学びの機会格差問題」に取り組んでいます。りあんでは週2回学習支援を行っていて、私たち藤女子大学隈元ゼミの学生はここで、栄養バランスを大切にした家庭料理を提供しています。例えば旬の魚があったら「お魚の食べ方」を紹介して食事が盛り上がったり、ボランティアスタッフの方が中心になって、みんなで一緒に食育にも取り組んでいます。
ひとつのテーブルで普段の出来事をお話ししたり、子ども達が準備や後片付けを手伝ってくれたり。いつも会う子どもたちは、とてもかわいいです。卒業で後輩へ活動を引き継ぎ会えなくなるのはとても寂しいけれど、成長していく子ども達に「出会えてよかった」と思います。りあんは、子ども達にとっても、私たちにとっても、食事を通じた学びの場になっています。
麻生キッチン りあん
■ 住所 | 札幌市北区北39条西5丁目2-12滝澤ビル1階(イオン札幌麻生店向かい) |
■ 電話 | 011-707-1795 |
■ 営業時間 | 11:30~18:00 |
■ 定休日 | 不定休 |
【学生の活動予定】 | ||
月曜日 | 11:30~15:00 | 藤麻人(500円ランチを提供します) |
水曜日 | 17:30~20:30 | へるすたでぃ |
土曜日 | 10:00~15:00 | へるすたでぃ (子どもたちに学習支援と食事提供をします) |
藤女子大学学生のアイデアに賛同し、2013(平成25)年8月2日に、麻生商店街振興組合が札幌市の空き店舗活用事業「コミュニティ型」として厨房を設置し本格オープン。学生がいない時間帯も「シャッターを閉めておくわけにはいかない」と、さまざまなコミュニティと連携し、活動の場を提供しています。
「日替わりシェフ」「学習支援」のほかにも、現在は「まちの教室」「おしごとBar」「介護相談」「生活の困りごと相談」などの事業を手がけ、学習支援とは別に月1回「こども食堂」も開店します。
商店街事務局では、「北区は札幌の中で、東区や白石区を抜いてひとり親や低所得世帯が最も多い地域。そんな環境で育った子どもたちが行き場なくたむろするくらいなら、いつでもここに来て一緒にご飯を食べてほしい。そんな場所があることで、非行防止や治安を守ることにつながっていければ。また、地域の情報を発信できる場所なので、組合店にももっともっと活用してもらいたい」とお話しされていました。
学生たちのアイデアから始まったりあんのまちづくり活動の輪は、広く、深くひろがっています。
※2017年1月13日現在の情報です。