江厚別町

市民の力で地域を盛り上げるまちづくり

江別と厚別の境界を中心に広がる架空のまち「江厚別町」の副町長に就任し、新たな地域連携を図るヤマザキケイタロウさん。デザインを通じて地域の魅力を発信する思いを伺いました。

地域の枠を超えて交流する
新たな広域連携のカタチ

江厚別町
副町長

ヤマザキケイタロウさん

グラフィックデザイナーとして広告制作会社代表を務めながら、札幌から江別に転居したことをきっかけにまちづくり活動を始める。2011年、江別に住む仲間とともに「えべつセカンドプロジェクト」を立ち上げ、江別で暮らす楽しさ・魅力を発信するさまざまなコンテンツを展開。2017年には「江厚別町」という架空のまちの副町長に就任し、地域と地域をつなぐ広域連携活動に取り組んでいる。

生活圏を境界とする新しいまち、地域と地域が交流する「江厚別」プロジェクト。

2011年に札幌から江別に引っ越しましたが、娘が通っている小学校の児童が減っていることを知り、自分たちで何とかできないものかと考え「えべつセカンドプロジェクト」という活動をスタート。札幌のチカホで江別のPR動画を流したり、商店街の本のイベントにDJとして参加したり、札幌などで面白い活動をしている方々を招いてのトークイベントなど、江別を盛り上げるさまざまな活動を行ってきました。その延長線上で生まれたのが「江厚別町プロジェクト」。まちづくりの仲間と語り合っているうちに「江別と厚別が合併したら面白いのでは?」と盛り上がり、行政上の境界ではなく、生活圏を境界とする新しい架空のまちを作ろうと「江厚別町」を立ち上げました。江厚別町のロゴは僕のデザインで、野幌森林公園を中心に広がるまちを幾何学的に表現。2つの山は江別と厚別、グリーンは野幌森林公園の緑を表しています。

メンバーそれぞれの興味ある視点から江厚別の魅力を発信。

江厚別町では、江別と厚別に住む人たちが、Facebookで地域のPRやイベント情報などを発信。江厚別町のPR動画を作って札幌のチカホで流したり、「江厚別町情報図書館」という架空の図書館を作って本好きの人たちが集ったり、「江厚別小麦ロード」という江別・厚別のパン屋やラーメン店を紹介するなど、メンバーそれぞれの興味ある視点から江厚別の魅力をPRしています。また、昨年の北海道胆振東部地震の後には、「えあつべつ節電大作戦」という節電を呼びかける取り組みも行いました。メンバー内では、町の概要を表す町政ガイドを作成したり、例えば子育て中のママが「子育て支援課長」、大学勤務の方が「教育長」、バンドをやっている方が「文化戦略課長」といった役職を付けて組織図を作ったりしていますが、これにより役所について調べたり学んだりする機会が多くなり、行政のことが理解できるようになりました。共同のまちづくりという観点からも、市民と行政がお互いに理解を深めることが大切だと思っています。

江厚別、そして札幌の景観やまちづくりの未来を語る、新たな広域連携へ。

札幌市では「札幌市とまわりのまちの広域景観」を通じて新たな価値観を創造する「NO BORDER PROJECT」という取り組みを行っていますが、その広域連携の呼び掛けに手を上げたのが僕たち。2017年に開催された『景観フェス2017』というイベントに参加し、江厚別町の取り組みを多くの方々に発信することができました。このイベントでは、街歩き研究家の和田哲さんと「境界と景観」をテーマにトークセッションを行い、市境という線を取り外し、あるいは違う線を引いてみることで、新しい都市の姿が見えてくることを提案。また、厚別・江別に関する知識を競い合う「江厚別ウノレトラクイズ」や「景観写真展」など、市民の方々が参加したプログラムも盛り上がりました。今年1月に開催された『景観未来会議SAPPORO2019』にもひな壇・パネリストとして参加し、江厚別町の取り組みに限らず、札幌の景観やまちづくりの未来について、さまざまなバックグラウンドを持つ方々と議論しました。これからも地域の枠を越えて、面白い広域連携を進めていきたいなと思っています。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。