ファザーリング・ジャパン北海道

父親であることを楽しもう

新しい時代の理想の上司「イクボス」の推進活動などを行う「ファザーリング・ジャパン北海道」の共同代表を務める伊藤新さん。自らも父親であることを楽しみながら、職場に、家庭に、笑顔を広げる取り組みを実践しています。

「良い父親」ではなく、
「笑っている父親」を増やそう!

ファザーリング・ジャパン北海道
共同代表

伊藤新(いとうあらた)さん

本業は株式会社北海道アルバイト情報社メディア企画室マネージャー。家庭では11歳と5歳の姉弟のパパ。会社の有休をフル活用してファザーリング・ジャパンの活動に取り組むほか、東北と北海道を結ぶ「カカラプロジェクト」代表、ポップロックバンド「Nothing」での音楽活動など、仕事はもちろん、さまざまな社外活動でも活躍している。

イクボス講演会や絵本ライブを通して、父親の育児や家事参加を応援。

ファザーリング・ジャパンのミッションは「笑っている父親」を増やすこと。育児参加や家事参加を強制するのではなく、父親であることを楽しみながら、家庭や地域に積極的にコミットできるよう父親支援を行っています。具体的な活動としては、企業や自治体から依頼を受けてイクボス推進のための講演をしたり、絵本ライブなどのイベントに出演したりするのが中心です。今、子育て世代の若手社員にはイクメンが増えていますが、いくら育児や家事に参加したくても、現実には上司の理解がないと早く帰れない。だから社長や管理職の意識から変えていきましょうというのがイクボスプロジェクト。一方的に社員の権利を主張するのではなく、チームで頑張って業績を上げ、みんなでワーク・ライフ・バランスを実現しようという働き方改革の一環です。もう一つの絵本ライブは、絵本の世界を曲にして演奏し、子どもたちに声を出したり踊ったりして楽しんでもらうもの。北海道主催の子育てイベントやショッピングセンターなどの催しなどに出演しています。

札幌市男女共同参画センター主催のイベントで出会った仲間と意気投合し、支部を発足。

僕は10年前、長女が生まれたときに6週間の育児休業を取得しました。そのため、東京のNPO法人ファザーリング・ジャパンの代表理事である安藤哲也さんが札幌で講演をする際、対談相手として僕に白羽の矢が立った。男性の育休取得者が他に見当たらなかったからだと思います。それで2015年にイベントで安藤さんとお話させてもらい、その後の打ち上げで出会ったのが、一緒に共同代表をしている丸山宏昌さん(大学教員)や、平島美紀江さん(編集会社代表)を中心とする今のメンバー。父親向けの子育てフリーマガジンを作りたいという平島さんの熱意に共鳴して、みんなで「とうちゃんのこたべ」という冊子を2年連続で発行。ファザーリング・ジャパンの協力を得て親子向けのイベントを開催しているうちに、正式に支部にしたほうがいいということになり、2017年に「ファザーリング・ジャパン北海道」を発足しました。そうした経緯なのでメンバーが出会った当初から、男性のため、女性ためということではなく、父親も母親も学生も、年齢性別関係なくみんなが楽しく参加できる場づくりを大切に活動しています。

父親が笑えば、子どもも母親も笑顔になる。父親から始まる笑顔のリレー。

僕らが提案したいのは、楽しみながらできることから始めましょう、ということです。家事も育児も「やらなきゃいけない」と思ったら、やりたくなくなるじゃないですか。だから、楽しんでできることが大前提。仕事も家庭も楽しんで、生き生きと輝いている大人の背中を子どもたちに見せたいですし、自分が楽しくてやっていることで結果的に誰かの役に立てるって、こんないいことはないですよね。全国では既に知名度のある大手企業200社以上が「イクボス宣言」をして大きなムーブメントになっていますが、北海道ではまだまだ企業の意識が追いついていません。そうした中、去年は富良野の青年会議所+事業所13社がイクボス合同宣言を行いました(現在は合計17団体)。父親であることを楽しむパパが増えたら、子どもたちが笑顔になる。ママも笑顔になる。そして、豊かな地域社会の実現にもつながると思うんです。…なんて、偉そうに言ってますけど、僕自身、楽しいから続けているというのが本音ですね。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。