特定非営利活動法人Kacotam(カコタム)

若い力で子どもたちの未来に希望を

経済的な理由や家庭環境から学びの機会が失われている子どもたちに、楽しい学びの場を提供する「Kacotam(カコタム)」。理事長の髙橋勇造さんに活動の今とこれからについてお話いただきました。

子どもと若者の学びの
“機会格差”をなくすことを目標に

特定非営利活動法人Kacotam(カコタム)
理事長

髙橋勇造(たかはしゆうぞう)さん

2012年に髙橋さん個人で任意団体を立ち上げ、学習支援活動を開始。14年にNPO法人化して理事長に就任した。活動を始めたのは、学生時代の家庭教師のアルバイトがきっかけ。子どもと向き合ううちに、子どもたちの抱える問題に強い関心を持ち、行動を起こしたそう。学生に向けた授業発表や市民への講演会など、活動の発信にも積極的に取り組んでいる。

5つの活動を中心に、各拠点で子どもと若者たちに学びの機会づくり。

私たちはさまざまな学習支援活動を行っています。その一つが、小学生から高校生を対象に、普段使用している教材を使って総合的な学習支援をする「スタサポ」です。主に一人親や生活保護世帯といった経済的な理由などで十分な学習環境がない子どもたちに、札幌市内と恵庭市、苫小牧市の各拠点で、学びの機会を作っています。また、児童養護施設や母子生活支援施設などを訪れ、各施設のニーズに合わせて学習支援を行う「学ボラ」、過去に学びたくても学べなかった若者の高卒認定試験や今後必要な技能を身に付ける学習支援「リラーニング」と、これらの活動は全て1対1でメンバーたちが学びをサポートしています。一方、定時制高校など支援先の学校生徒全員を対象に行う「スクールサポート」という活動も行っています。これに加え、子どもたちの居場所となり、自分の考えや言動が大事にされる場所である「ゆるきち」という一軒家を活用した施設の提供もしています。

成長する姿、輪の広がり。目に見える喜びが、日々の活動の原動力に。

貧困や複雑な家庭環境などで、塾や習い事にも行けず、進学を諦める子や、また、人とのつながりやコミュニケーションがうまくできない子どもたちがいます。そんな子どもたちには学びの機会に格差があると思います。それを何とか解決していければという思いでこの活動をしています。活動を始めて7年くらいになりますが、子どもたち一人一人が本来の自分を出して、持っている力を発揮できたり、あるいは新しい一面を見せたりと、変化して成長していくのを目の当たりにできるのが大きな喜びです。当初は一人で活動していましたが、メンバーがどんどん増えて、学生や社会人など今では150人ほどが参加してくれています。さらに個人をはじめ、団体や企業の方々からも賛同をいただき、寄付をいただいています。メンバーにも寄付していただいた方々にも、共通の思いを持ってそれぞれのできることをかたちにしてもらい、その輪が広がってきていることもやりがいになっています。

札幌から道内全域へ学びの楽しさを。ワクワクをかたちにする喜びを。

今後進めていきたいと思っていることの一つは、札幌市外の拠点を増やすことです。道内179市町村に1ヵ所ずつでも、カコタムのような学びの場を作っていきたいと考えています。各地域の他団体などと連携したり、場づくりをサポートしていければと願っています。それから、今の活動を充実させていきながら、メンバーが子どもたちへの対応力をさらに付けていけるよう、個々のスキルアップにも努めていきたいです。学習支援においては、学びの場だけではなく、家族や学校、地域との関わりでの悩みや課題をより総合的に支えられるようになっていけたらうれしいです。一方、子どもたちの好きや興味、やりたいと思う好奇心を育む面においては、メンバー一人一人に子どもたちと共にかたちにしていける企画力やチーム力を付けてもらい、いろいろな思いをもっともっとかたちにした楽しい活動を増やしていければと思っています。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。