科学教育の発展を楽しく応援したい
札幌を中心に道内外で科学実験教室やイベントを開催し、科学教育活動を続ける「butukura(ブツクラ)」。高校時代から今につながる活動を続けてきた理事長の中司展人さんにお話を伺いました。
特定非営利活動法人butukura(ブツクラ)
理事長
中司展人(なかつかさのぶと)さん
活動の母体になったのは、中司さんが故郷で参加していた中標津高校物理研究愛好会。卒業後、同級生たちが札幌へ進学し、担当教師も転勤で札幌へ。そこで再び仲間たちが集まり、科学の楽しさを伝える活動を開始した。その後、初期メンバーの大学卒業に伴い、継続してより組織的な活動を行うとともに、科学教育の発展に寄与することを目的にNPO法人化へ。
ワクワクする実験や工作で、生活とつながる身近な科学への気付きを。
発電をテーマにモーターや太陽光などでの発電や電池作りを体験してもらったり、子どもたちが大好きなスライムを作ってみたり。現状では130種ほどある実験を幾つかのプログラムに組み立てて、教室を開いたり、イベントを開催したりしています。参加対象は主に小学生ということもあり、夏から冬にかけての土・日を中心に、年間30回くらい活動をしています。低学年向けの教室が多いですが、4年生以上の高学年向けになるとより深く科学と向き合ってもらえる内容にできるので、やりがいがありますね。親子で参加していただく教室もあるんですが、実験を驚かずにじっと見入っている子どもたちに比べて、親御さんたちの反応の方が大きく、いいリアクションが返ってくるんです。今後は、例えば洗剤の科学や防災など、生活の中で役立つようなプログラムを用意して、大人の方々にも科学を身近に感じていただけるきっかけづくりができればとも思っています。
参加者はもちろん、教える側の達成感に満ちあふれる笑顔がうれしい。
一緒に活動しているメンバーは大学生を中心に社会人もいます。文系理系を問わず、教室やイベント運営を手伝ってくれるメンバーは、随時募集しています。代表という立場で活動を見ていてうれしく感じるのは、子どもたちの笑顔と学生たちの笑顔に出会う時ですね。参加してくれた子どもたちが体験したことやその時間に満足して帰っていく様子、そして、それ以上に教えたメンバーたち、中でも学生たちから子どもたちに良い体験をさせることができたという達成感を見てとれる時が、私自身も活動を続けてきて良かったと思う時です。私も子どもの頃は実験や工作が好きで、理系を目指しました。その楽しかった思いをみんなで共有することで、子どもたちの科学への好奇心を育み、将来は理系に進学してまた次の代へと興味をつないでくれたらと期待しています。私たちの活動が、北海道の理系の学びを盛り上げる一助になればという思いも持って活動をしています。
「科学をもっと身近に」を道内へ。科学と触れ合える場づくりをしたい。
札幌は科学イベントが多く、規模も大きく、施設やプログラムなども充実した札幌市青少年科学館もあります。私たちの拠点である北海道大学でもたくさんの科学イベントや科学に触れる機会が設けられています。とても科学的な刺激が多くて良い都市だと感じています。これに比べて、地元の中標津町もそうですが、札幌以外の市町村では科学と触れ合える環境がなかなか無いという実情があります。ですので、今後の活動ではこれまで以上にできるだけ道内各地へ行って、子どもたちの科学的好奇心を刺激したいと思っています。既に地元の中標津をはじめ、北見、帯広、留萌などでは、継続して開かれている科学イベントに毎年参加し、各地の科学を教えるボランティアの方々とのネットワークもあります。これからも科学教育という視点で分かりやすく楽しい教室を開催して、子どもから大人まで、皆さんに科学をもっと身近に感じてもらえるような活動を続けていきたいですね。
(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。
子どもにも、大人にも
科学は面白いと感じてほしい