写真撮影を通じ社会貢献
「ポレポレ」は、社会福祉施設などの行事や記念写真の撮影を引き受けるボランティアサークルです。結成はなんと25年前。長く活動を続ける秘訣とはなんでしょうか——。
フォトボランティア「ポレポレ」
江上宏(えがみひろし)さん
アマチュアカメラマンが中心に集まって1994年4月に結成。社会福祉施設や公共性の高い団体から依頼を受け、行事やイベントの撮影を行います。これまでメンバーの入れ替わりはあったものの、活動は今年で25年目。息の長い取り組みを続けてきた、伝統あるサークルです。
アマチュアカメラマンが、写真撮影をお手伝い。
現在のメンバーは15人。アマチュアカメラマンが中心で、中には元プロの方もいます。撮影を依頼されるのは、養護学校の入学式や卒業式、運動会や学習発表会などの学校行事をはじめ、厚別区民まつりや新さっぽろ冬まつりなど地域のイベント、北海道盲導犬協会の催しなどです。失敗があってはならないので、会員2人以上で撮影に出向くのが基本。時には10人で行くような大掛かりなイベントもあります。例えば、成人式で振り袖を着ることができなかった女性に着付けをして記念写真を撮影するという着物教室主催のイベントなどは照明セットも用意。その場でプリントして写真をプレゼントしました。私はどのような撮影でも「撮ってあげる」ではなく「撮らせてもらう」という気持ちで現場に臨んでいます。
アメリカで実感した、ボランティアが当たり前の社会。
サークルの結成は1994年、かれこれ25年前になります。きっかけは北海道の外郭団体が主催するアメリカ視察に参加したこと。現地で博物館や赤十字を見学させてもらい、どこにでもボランティアが活躍していることを知りました。ボランティアの活動がごく身近にあり、子どもの頃から自然に参加している。そうした社会の在り方に刺激を受け、私も何かボランティアをしたいと、趣味のカメラ仲間に声を掛けて始めたわけです。会員の入れ替わりはありましたが、今は30代から80代まで、写真を趣味にしている幅広い方が参加してくれています。みんなに共通しているのは、写真が好きなこと。いい仲間がいたから、これまで続けてこられたと思います。撮影は、以前はフィルムでしたが、今は全てデジカメ。肖像権の問題もあるので、撮り終わったらデータを依頼先に渡し、メモリーカードを消去して帰るスタイルが多いです。依頼者や撮影した方には大変感謝してもらえますし、これまで社会福祉協議会の会長賞や市長表彰など3回も表彰されたことも、活動の糧になっています。
世代交代も考えながら、できるだけ長く続けていきたい。
毎月1度、第4水曜日に例会を開き、その月の活動の報告と、翌月の撮影に対して誰が出動するのかの調整を行います。時間があれば、撮影の技術力向上に向けた研修も実施します。平均して年間50回くらいの撮影依頼があるのですが、課題は運動会や学習発表会などの時期に集中すること。どうしても会員の都合がつかないときは、他のフォトボランティアと連携してやりくりすることもあります。また、依頼とは関係なく会員同士で撮影会をしたり写真展をしたり、親睦を深めるための忘年会も実施しています。会員はもともと写真を撮るのが好きな人ばかりですが、依頼者に「ありがとう」と声を掛けてもらえると、やはりうれしいですよね。養護学校の子どもたちは小中高と成長課程を見ていますから、卒業式ではジーンときたり、盲導犬になる子犬が家族と別れるパピーウオーカーの修了式ではうるっとしたり、心を動かされる場面もあるんです。今後は若い世代にも参加してもらい、世代交代しながらできるだけ長く続けていけたらと思っています。
(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。
趣味のカメラでボランティア、
喜んでもらえるのがやりがい