特定非営利活動法人green bird 札幌チーム

ゴミ拾いを通じて、人と人とのつながりを創る

東京から全国、海外へと広がり、札幌では大通エリアを中心にまちのゴミ拾い活動を行う「green bird(グリーンバード)」。札幌チームを率いるリーダーの服部彰治さんに、まちをきれいにする活動への思いを伺いました。

まちをきれいに、
誰かとつながる

特定非営利活動法人green bird 札幌チーム
リーダー

服部彰治(はっとりしょうじ)さん

1995年よりCIS計画研究所にて景観計画、屋外広告物条例の策定などに携わる。1999年からC.S.P.T地域計画機構主任研究員として、札幌市はじめ各市町村の中心市街地活性化やまちづくりに従事。2007年より、大通地区まちづくり協議会専任マネージャーとして大通地区のまちづくり活動に専従し、現在は札幌大通まちづくり株式会社取締役統括部長として、大通地区の再生に向けた取組みを展開。一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス理事、NPO法人の札幌オオドオリ大学の理事、green bird札幌チームのリーダーなども務める。

きれいなまちは、人の心もきれいにする。全国、海外に広がるゴミ拾い活動。

グリーンバードは、もともと2003年に東京の原宿表参道で始まったプロジェクト。「きれいなまちは、人の心もきれいにする」をコンセプトとする活動は、全国各地、そして海外にも広がっています。札幌チームの活動が始まったのは2009年。東京でグリーンバード代表のお話を聞き、「全国規模の活動にしたい」という思いに賛同してチームを立ち上げました。私がリーダーを務め、数人の副リーダーがいますが、参加するメンバーは固定していません。春〜秋は第1土曜日昼と第3木曜日夜の月2回、冬の間は第1土曜日昼の月1回が通常のスケジュール。パルコ裏のさっぽろシャワー通りを起点に、主に駅前通や狸小路など大通エリアの商店街のゴミ拾いを行っています。参加者の数は15人ほどから、多いときで30〜40人ほど。ときには町内会の方々と100人規模で清掃を行ったり、企業からの依頼であそびーち石狩のクリーン作戦に参加したり、小学校の児童たちとコラボするなど、イレギュラーの活動も行ってきました。また、ファッションブランドのスタッフが地域貢献活動の一環で参加してくれたこともあります。

知らない人同士が楽しくつながる。ゴミ拾いは自然なコミュニケーション。

グリーンバードの活動は、まちの掃除。でも、これは強制ではありません。「まちを汚すのは格好悪いことだ」という思いに共感した人たちが集まり、知らない人同士が知り合ってゴミ拾いをしているのです。初めて会った人と一緒に作業していると、小さな会話がたくさん生まれ、自然なコミュニケーションが楽しめます。また、汚かったものがなくなるというのは、単純にスッキリしますね。大量のゴミを集めたときには、ある種の達成感も感じます。参加者からは「ゴミがあるのは困りものだけど、ないと物足りなく感じますね」という声も。グリーンバードはいわゆるボランティア活動ですが、何かのために貢献したいという意識より、面白さ、仲間、会話、人とのつながりといった複合的な要素が、参加者のモチベーションになっていると思います。中には「スター・ウォーズ」のキャラクター衣装(公認)で参加する人もいますし、以前にはコスプレイヤーたちの集団や北大アメフト部の学生たちがユニフォーム姿で参加したことも。札幌チームは、全国的にもコスプレ度が高いと言われていますね。

グリーンバードの活動のそばに、さまざまな人生のドラマがある。

以前、小学生とコラボしたとき、子どもたちが拾ったゴミを検証してグラフ化してくれましたが、6割以上のゴミがたばこの吸い殻。春には、雪の下で隠れていた吸い殻が増えてきますね。地域性でいうと、すすきの方面では空き缶が目立ちます。それから駅前通には冬季間の滑り止めの砂箱がありますが、その中はゴミがどっさり。たぶん日本語や習慣がよく分からない外国人観光客だと思われますが、ゴミ箱と勘違いして捨てていくんでしょうね。メンバーの中に高校生の時から参加している女性がいて、「大学受かったよ」「就職決まったよ」といった話を聞くたびに自分ごとのようにうれしく感じたものです。また、ご夫婦で参加されていた奥さんから、先日ご主人が亡くなったという話を聞いたときには胸に込み上げるものがありました。グリーンバードの活動を続けていると、いろいろな人生のドラマを感じます。まちを良くしようという発想で始まったゴミ拾いから、さまざまな人と人とのつながりが生まれ、緩やかなコミュニティーになっているのです。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。