アマチュアバンドコミュニティさっぽろ

音楽をまちのチカラに!

音楽を楽しむ場づくりを通して、まちづくりやボランティア活動を叶えてきた「アマチュアバンドコミュニティさっぽろ(ABC-SAPPORO)」。長きにわたる活動への情熱を、加藤美浩さんに伺いました。

市民にライブの機会を、
ミュージシャンにステージを

アマチュアバンドコミュニティさっぽろ
主宰

加藤美浩(かとうよしひろ)さん

自身もジャズバンドのクラリネット奏者として団体に登録。コミュニティFMを立ち上げ、ラジオパーソナリティをしたり、まちづくりやコミュニケーションなどをテーマにしたユニークな社員研修や講演を行ったり、15年前から投稿しているサラリーマン川柳では、全国で1位になったこともある“優秀100句”の常連として知られるなど、多方面で活躍している。

生演奏の文化を再び。ミュージシャンと観客の橋渡しを続けて19年目。

生の演奏を楽しむとなると、チケットを買って出掛けるライブやコンサートをイメージすると思いますが、昔々はちょっとしたパーティーや商店街のイベントなど、ごく身近な催しにバンドが入っていて、プロやアマチュアミュージシャンの演奏を目の前にする機会、そうした文化がありました。それが昨今ではカラオケに取って代わり、日常生活の中で音楽を生で楽しむ機会はほとんど無いに等しい状況です。音楽が好きな観客の一人として、また楽器を演奏する者の一人として、生演奏の文化を復活させたい、その必要があるのではと思い、活動を始めました。そうしてアマチュアミュージシャンを中心に、彼らの活躍の場づくりと、それを望む企業や団体、さまざまな施設などの皆さんとの橋渡しを20年近く続けています。イベントや会合などを企画する時に、何か良いプログラムは無いものかと皆さん頭を悩ませていて、活動をしているとまだまだニーズがあると感じているんです。

多ジャンルのバンドが60以上も登録。演奏するステージも多種多様に。

登録しているバンドは、ポップス、ジャズ、クラシック、フォーク、民族音楽など、さまざまなジャンルがそろっていて、他にはないラインアップになっています。なので、バンドを紹介する際には、希望と違うジャンルをご提案したり、前回とは異なる音楽をご紹介したりと、皆さんにいろいろな音楽と出会う機会づくりにも力を入れています。こうしたマッチングの中で、ミュージシャンによっては演奏したことの無い場所や自分たちのイメージしている場と違うステージに立つこともあります。けれど、結果としてライブをして良かったという声が多いんです。普段はチケットを売って、自分たちの音楽を聞いてくれる人だけを集めていますが、初めて聞く人たちの前で演奏し、その反応を感じることに意義があるんだと思います。特に若い世代のミュージシャンたちには、ライブハウスを飛び出そうということを伝えて、彼らの成長の一助になることにも心を砕いているんです。

音楽をまちの力に!市民の日常に音楽が根付いている文化都市が願い。

モエレ沼公園のクリスマスイベントや札幌もいわ山ロープウェイの中腹駅フォレストギャラリーで開催しているコンサートは共に長く参加させていただいているステージです。だんだん認知はされてきていますが、もっともっと多くの人たちにこうした機会を楽しんでもらいたいと思っています。札幌は、PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)やサッポロ・シティ・ジャズなど、大きな音楽イベントが開かれ、音楽の街として内外に知られています。これらのイベントが開催時だけの盛り上がりに終わるのではなく、市民レベルの文化としてより深く浸透して、広がってくれたら良いですね。例えば、ある町内会ではクラシックの定期演奏会があったり、学生時代にジャズ研に入っていた人が、仕事帰りに演奏を楽しむために会社に楽器を担いで行くなど、普段の生活に日常的なこととして音楽と触れ合う、生演奏を楽しむ時間が根付いている街になることを願っています。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。