特定非営利活動法人北の映像ミュージアム

北海道の時代を、映像でアーカイブ

美しい大自然や個性ある街並みで、多くの映画やドラマのロケ地となっている北海道。その歴史と情報の集積地として、発信地として活動するのが「北の映像ミュージアム」です。

作品を取り巻く物語と人と
思い出が集まる文化拠点に

特定非営利活動法人北の映像ミュージアム
理事長

佐々木純(ささきじゅん)さん

広報担当

新目七恵(あらためななえ)さん

ミュージアムでは、新聞記者であり美術と映画の評論家でもあった故・竹岡和田男氏のコレクションを中心に、数万点にもおよぶ映像史料を収集し保存。理事長を務める佐々木さんは、テレビ局で長く映像の世界に身を置いたプロフェッショナル。広報を担う新目さんは、フリーライターとして活躍する傍ら、“三度の飯より映画好き”が高じてスタッフとなった。

北海道をロケ地とした500本近い作品の史料を集積し、保存・展示(佐々木さん)

自然環境に恵まれた北海道は、多くの映画やドラマのロケ地になってきた歴史があり、今も毎年5〜10作品ほどの新しい映画やドラマが撮影されています。私たちは、道内各地で撮影された多くの作品を道内の皆さんはもちろん、観光で訪れる皆さんにも知ってもらいたい、観てもらいたいという思いで活動しています。映像史料は、故・竹岡和田男氏のコレクションが主ですが、2018年5月まで「さっぽろ芸術文化の館」内に開設していたミュージアムで多くの方々に寄贈していただいたこともあり、現在はさらに充実した内容になっています。戦前の映画評論や戦後復刊した『キネマ旬報』50年分をはじめとした書籍、ポスター、スチール写真などに加え、道内の映画館と映画産業、地元放送局の歴史などにも触れられる興味深いものもあります。さらにその時代にしか見ることのできない建造物や祭りなどの貴重な映像も残っています。そうした大切な史料を後世に引き継いでいくことも私たちの使命だと感じています。

“歴史の証言者”でもある映画で地元の魅力や歴史を再発見してほしい(新目さん)

公式サイトをはじめとするメディアで情報を発信したり、札幌フィルムコミッションなどの映画や映像に関わる団体や施設と連携し、北海道をロケ地とした映画の魅力を伝える活動や新作映画を応援する活動も積極的に行っています。映画が大好きな私は、同じように映画が好きなスタッフと交流しながら、いろいろな作品を教えてもらい、資料を見たり読んだりするのが楽しみです。そして自分の住む北海道の魅力を、映画を通して再発見できたり、古い映画で歴史や風土、文化を再認識できることがやりがいになっています。昨年まで開設していたミュージアムには、映画好きの“人”や映画に関する“もの”、映画にまつわるたくさんの“思い出”が集まってきました。これから新しくできるミュージアムは、また同じような拠点となり、閉館することなく恒久的な場になってほしいと願っています。一緒に活動してくれるスタッフを随時募集していますので、ぜひ気軽に参加してもらいたいです。

観光・文化の拠点はもとより、次世代の映画人のための拠点としても(佐々木さん)

ミュージアム開設のきっかけとなった竹岡さんは、フランス・パリにある私立文化施設「シネマテーク・フランセーズ」をイメージし、作りたいと思っていたんです。古いフィルム、衣装、資料、初期のカメラや機材、セット、ポスターなどをコレクションした映画の博物館で、フランス映画界に一時代を築いたヌーヴェル・ヴァーグの巨匠たちが若い頃にこぞって通ったという施設です。私たちのミュージアムにも若い人たちが訪れ、新しいものを生み出す場になってほしい、新しい映画の潮流がここから始まってほしいと話していました。昨今ではロケ地巡りが観光コンテンツとなり、経済と結びついています。また、テレビが誕生するまでは映画館が娯楽の中心で、各地に多くの映画館があった歴史があります。そんな今も昔も映画と縁が深い北海道で、新しいミュージアムは北海道の文化をはじめ、観光、経済、産業などともつながり、貢献できる存在になれれば良いと願っています。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。