特定非営利活動法人北海道を発信する写真家ネットワーク

写真の力で北海道の魅力を発信する

2007年、北海道をフィールドに活躍する写真家有志が立ち上げたNPO法人。発足のきっかけから、その理念、活動内容までを理事長の中村健太さんにお聞きしました。

写真を通して観光振興や
文化発展に寄与したい

特定非営利活動法人北海道を発信する写真家ネットワーク
理事長

中村健太(なかむらけんた)さん

写真を通して北海道の魅力を広く発信しようと、写真家有志が集まって2007年にNPO法人を設立。「北一条さっぽろ歴史写真館」の企画展示や、「Sapporo Photo」などのイベントを手掛けている。理事長の中村さんは広告や雑誌の写真撮影を手掛ける傍ら、NPO法人の活動に参加。2017年の総会で理事長に選出された。

写真家有志が集まって、北海道洞爺湖サミットをきっかけに発足。

発足のきっかけは2008年の洞爺湖サミットです。僕は立ち上げメンバーではありませんが、世界の首脳やメディアが来道する千載一遇のチャンスに、写真集や写真展を通して北海道の魅力を発信しようと、プロの写真家が集まってサミットの前年の2007年にこのNPO法人を設立したと聞いています。スローガンは「写真の力で北海道の魅力を発信する」。北海道をフィールドに仕事をしている写真家が、作品で広く魅力を伝えることで、北海道の観光や産業の振興に貢献すること、そしてもう一つは、写真ファンの裾野を広げる活動で、写真文化の発展に寄与すること。この二つを目的に活動しています。プロの写真家が所属する協会はいくつもありますが、NPO法人を組織して独自に事業をしているのは全国でも珍しいのだそう。現在約40人の会員が在籍しています。

子ども写真教室やSapporo Photoなどのイベントも開催。

これまでに撮り下ろし展の開催や、東京での10周年記念写真展などを行っていますが、定期的な活動としては、北一条地下駐車場の連絡通路内にある「北一条さっぽろ歴史写真館」の企画展示です。これは札幌市の所蔵する歴史写真を活用し、歴史の面から札幌の魅力を紹介しようと、毎回テーマを決めて年に2回ほど展示替えをしています。また、企業とのコラボレーションにも取り組んでおり、2016年からはAIRDOさんの大判カレンダーに会員の写真作品を提供。その他、2015年からは札幌市と協働で市民と写真家の共創イベント「Sapporo Photo」を毎年開催しています。カメラメーカーの協力を得て「子ども写真教室」を開いたり、去年は札幌市民交流プラザ内の札幌文化芸術交流センター(SCARTS)の開館記念企画に公募して選ばれ、写真評論家を招いた講演会やポートフォリオレビュー、「東京写真月間」の巡回展なども実施しました。SCARTS1階ロビーに子ども写真教室の作品などを展示しましたが、図書館や劇場帰りの多くの方に足を止めて見てもらうことができました。

一枚の写真には大きな力がある。写真で北海道を元気にしたい。

昨年は公益財団法人札幌市中小企業共済センター「さぽーとさっぽろ」とのコラボレーションが実現し、会報誌「さぽさぽ」の表紙に写真を提供した他、大人向けの写真教室も開催しました。また、市民公募型の大型写真展を初めて開催。11月3日の文化の日に撮影した写真を市民に寄せてもらい、SCARTSで展示しました。スマホやSNSの普及で写真を撮る機会は増えていても、プリントして人に見せる機会は意外に多くありません。撮影後の作品展示まで体験してもらい、写真を撮る楽しさや発表する楽しさを市民の皆さんと分かち合うことができました。美瑛町の「青い池」がパソコンの壁紙に採用されて世界的に有名になったように、1枚の写真には大きな力があります。写真を通して北海道の魅力を道外・海外に発信していけば、観光や産業の振興にも少なからず役立てるはず。いつか赤れんが庁舎など観光の方も訪れやすいような場所に北海道の写真家の作品を展示する常設のギャラリーをつくりたいという夢もあるんですが、これからも北海道を元気にするような活動を続けていきたいと思っています。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。