教文13丁目笑劇一座

笑いは楽し!笑いは許し!笑いは世直し!?

「観客も演者も笑って元気になれる喜劇集団を」という札幌市教育文化会館の音頭で立ち上がった「教文13丁目笑劇一座」。座長のバリ2タカノさんが語る11年と、これからへの思いとは。

市民喜劇団を旗揚げて11年、
公演も11回を達成

教文13丁目笑劇一座
座長

バリ2タカノ(ばりばりたかの)さん

2008年の創設時より参加する1期生。10代から東京で本格的に演劇を学び、NHK大河ドラマ等への出演経験も持つ。20年ほど前に札幌へ移住し、たまたま一座の募集を目にしたことで再び演劇の道へ。全国でも珍しい市民参加の喜劇団を束ね、座員が参加する各種イベントのプロデュースなども行う一方で、ラジオパーソナリティー、食関連のコーディネーターなど多方面で活躍している。

延べ300人以上が参加する、個々の思いを大切にし、とことん自由な演劇集団。

現在の中心メンバーは10人くらいでしょうか。例年1月に本公演を開催し、その他の時期はご依頼いただいた出張公演や出張ボランティアを随時無理のないベースで行うというスケジュールで毎年活動しています。これまでに参加した人は、下は小学生から上は80代まで、延べ300人以上。笑劇一座は、演技経験やいろいろなスキルの有無に関わらず、やりたい人がやりたいようにできる空間作りを心掛けています。そうなるために必ずやっているのが、ニックネームを決めること。お互いを信頼し合い、一緒に笑いを追求していくのに年齢や肩書、収入は必要ありません。ですから、創設当初からニックネームで呼び合う決まりで、「さん付け」も禁止です。今年も1月に11回目の本公演を行ったのですが、いつも日程や脚本が決まる頃になると決まって数年ぶりにふらっと戻ってくる人がいるのもうちの特徴かもしれませんね。笑劇一座は決まった月謝があるわけでなく、出席を取ることもありません。ですが、一度でも出演したらもう座員…という実にアバウトで、自由な団体なんです。

いろいろな笑いを舞台の上へ。舞台は世間の縮図であり、笑うことは未来につながる。

子どもは大人の何倍笑っているか知っていますか? 何と20倍も笑っているんだそうです。笑いは健康に良いとも言われますし、極端なことを言えば、大人も子どもと同じくらい笑った方がいいと思うんです。だから、一座ではあらゆる場面を笑いにつなげる、まさに“笑劇”を目指しているんです。狙って笑いを取るテクニックありきの笑いはもちろん、狙わなくても思わず笑える天然キャラクター的な笑い、失敗から生まれる笑いなど、笑いにもいろいろな種類があります。私たちが目指しているのは、その全ての笑いで創る舞台。年に一度の本公演は1年の集大成であり、演者と観客の垣根なく、みんなが一つになってゲラゲラと笑い、終演後はストレッチ運動をしたかのように心がほぐれ、気持ち良く帰ってもらいたい。私は「笑うこと=許すこと」だと思っていて、日常生活に起こるさまざまな出来事も思いっきり笑うことで許すことができ、心がほぐれていくのだと思うんです。笑劇一座の活動を通して、そのことが伝播し、気付いたら北海道中が笑いに満ちていったら最高ですね。

思い立ったら吉日。見学なしの即本読みで、一座の空気を感じてほしい。

稽古は毎週木曜日の夜、札幌市教育文化会館で行っています。今日の参加者の中には最初は見学で、それも付き添いで来たはずが本読みに参加してみたらすっかりハマり、かれこれ3年くらい在籍しているメンバーがいます。見学とは字のごとく“見る”だけで、笑劇一座の良さは一緒にやってみないと分かりません。むしろ大きな声を出し、人前でせりふを言い、認め合って笑い合うというのは、やらないと実感できませんし、そんな経験はなかなかできないと思います。合わなければもう来なければいいんです。一座は一人一人が考えて工夫できる場でありたいと考えているので、ダメ出しがありません。あっても「要望」と言っていて、「要望」ですから無理して応えなくてもいいんです。また、台本通りに稽古することもなくて、配役が決まっていても、できるだけ違う人でいろいろな役を稽古します。そうすることで役への先入観もなくなりますし、客観的な視点で全体をふかんして考えられたり、新たな気付きを感じることができたりします。これからも一座を好きでいてくれる熱心なメンバーがいる限り、彼らの想いに応えながら、もっともっと認知度を上げて、活動を広げていきたいと思っています。まずは100人に聞いたら50人は知っているという集団を目指して頑張っていきたいです。

(取材・文・編集 株式会社アウラ)
※2019年3月1日現在の情報です。