ミニ大通お散歩まつり実行委員会

主役は桑園地区の人たち みんなが笑顔で元気になれる場所を提供したい

北海道でも珍しい、地域の人たちが自らつくる「ミニ大通お散歩まつり」。お祭りがささえる地域の輪についてミニ大通お散歩まつり実行委員会代表、 遊佐高大さんにお話を伺いました。

ミニ大通お散歩まつり実行委員会 代表 遊佐高大さん

ミニ大通お散歩まつり実行委員会
代表 遊佐高大(ゆさたかひろ)さん

北海道外でサラリーマンとして働いていましたが、2009年に札幌へ戻ってきました。新聞販売店の家業の傍らミニ大通お散歩まつり実行委員会の初代代表、工藤英明さんの誘いをきっかけに、第2回ミニ大通お散歩まつりから実行委員として参加。第6回からは代表に就任し、現在まで活動を続けています。頼りになるリーダーとしてみんなから慕われています。

地域の人がつながることができる場所を目指して

地域の人がつながることができる場所を目指して (写真左)大通高等学校芸術科による絵と書のパフォーマンス。ダイナミックなパフォーマンスにみんなくぎ付けです
(写真右)チャリティー抽選会。豪華な景品が当たることも

―活動のきっかけ、立ち上げの経緯について教えてください

今では「ミニ大通」と呼ばれ親しまれている「北4条大通」は、昔はごみがたくさん落ちていて景観があまり良くありませんでした。そこで道の掃除をすることで、桑園地区に住む人たちを元気づけたいという小さな活動が始まりでした。その活動を続ける中で、「お金をかけずに自分たちの手作りで桑園地区に住んでいる人や働いている人、学んでいる人たちがもっと気軽に交流をしたり、地域の人同士で楽しめたりするようなことができないか」と考え、実行委員10人ほどで最初のミニ大通お散歩まつりを企画しました。50人も集まればいいと思いながら開催した第1回のミニ大通お散歩まつりでしたが、開催してみると当日はなんと300人以上の人たちが集まってくれ、本当に驚きでした。その後は、回を重ねるごとにどんどん規模が大きくなり参加人数も増え、気が付くと参加した方々に喜んでもらえるお祭りが自然と出来上がっていました。また、東日本大震災が発生した2011年からは、チャリティーにも力を入れ、協賛企業から集まった商品を景品として、100円の募金で1回くじを引くことができるチャリティー抽選会を毎回開催しています。なお、この抽選会で集まった募金は、全額札幌市の「さぽーとほっと基金」へ寄付しています。2019年からはこの募金を北海道胆振東部地震の寄付金として寄付することにしました。寄付金は札幌市内で被災者支援の活動を行う団体の活動費として役立てられています。

―ミニ大通お散歩まつりの魅力を教えてください

ミニ大通お散歩まつりは、「桑園地区の人たちが主役となって地元を明るく元気にしていこう」という想いのもと開催しています。桑園地区には近年たくさんのマンションが建設され、それに伴い小さい子どもを持つ家庭が増えました。しかし、同じマンションに住んでいても、隣にどんな人が住んでいるのか全く知らないという方が多いのが現状です。そんな方々が、これまでは交流の機会がなかった近所の人たちと、ミニ大通お散歩まつりを通じて知り合うことができることが最大の魅力だと思っています。また、そこでできたつながりが、2019年に発生した北海道胆振東部地震の際には声掛けという形で、地域の人同士でささえ合い、助け合うことにつながりました。

地域の人がつながることができる場所を目指して (写真左)みちあそびブースで子どもがチョークを使って好きなようにお絵かきをする様子
(写真右)樹上展では、桑園地区の高校や幼稚園が主体となって自由に作品をつくり、木に飾ります

若い世代の新しい発想を自由に表現してほしい

―運営はどのように行われていますか?

現在、運営は実行委員20人が常に稼働しています。定例会議は月に1度、協賛企業の(株)極楽湯様の会議室を借りて行っています。ただ、ミニ大通お散歩まつりの開催が近くなる8、9月は週に1度の全体会議の他に、運営チームごとに何度も打ち合わせを重ねます。開催当日は運営委員の他に100人を超えるボランティアスタッフがミニ大通お散歩まつり開催をささえてくれています。最近では「イベントに参加したい」「お店を出したい」という要望が増えていて、スケジュールや区画の調整が大変ではありますが、実行委員一丸となって取り組んでいます。また、「地元の人を大切にしたい」というミニ大通お散歩まつりの原点を忘れないため、基本的にイベントへの出店は「桑園地区に関わる人や企業・学校」を最優先としています。

―運営にはどのような方が関わっていますか?

運営に携わっているのは主に30~50代が多いです。この他に、札幌大通高等学校や札幌龍谷学園高等学校、札幌市立大学など桑園地区の学校やそこに通う学生など、10~20代の若い世代も運営やボランティアスタッフとして参加し、協力してくれています。フラッシュモブや二次元コードを読みこむと木の詳細が分かる樹名板は、まさに若い世代の新しい発想で、ミニ大通お散歩まつりに新しい風を吹き込んでくれています。また、学生たちは卒業してしまったら終わりではなく、彼らの後輩へミニ大通お散歩まつりに関するノウハウなどを引継いてくれ、次の世代へとつながっています。

全て自分たちの手で一からつくりだすことのやりがいを実感

―運営メンバーの声を聞かせてください

「10回目を迎えても、毎回全く違うミニ大通お散歩まつりが出来上がるのがとても楽しいです。お祭りをつくるプロではなく、素人である地域の人たちが1からつくるからこそ、手作り感があって、より面白いものが出来上がります。第3回のミニ大通お散歩まつりでは、札幌市立大学デザイン学科の先生と学生が、ミニ大通お散歩まつりにやってきた人たちの賑やかな声を聞いて、「土の中で眠っていた球根(9コン)たちが目を覚ました!」というコンセプトで、ミニ大通お散歩まつりのゆるキャラ「9コンズ」をデザインしてくれました。また、2019年9月に開催された第10回のミニ大通お散歩まつりでは、道路にチョークで自由にお絵かきをしたり、段ボールとガムテープで子どもたちが好きにものづくりをすることができる「みちあそびゾーン」というブースを新たに設けました。小さな子どもを抱えた世帯が多い桑園地区だからこそ、子どもが伸び伸び遊べる場所や親が安心して子どもを遊ばせることができる場所を提供できたことは本当に良かったです。このように、回を重ねるごとに勉強になることや挑戦してみたいと思うことも多く、またミニ大通お散歩まつり自体がバージョンアップしていくことにとてもやりがいを感じています」という声をいただきました。

参加方法について

参加対象/原則18歳以上、ミニ大通お散歩まつりの主旨を理解してくれる方であればどなたでも参加可能

申し込み方法/電話、メール

活動頻度/全体会議月1度、ミニ大通お散歩まつり時期には回数が増えます

参加費用/会費なし

これからも地域のことを一番に考え、みんなで楽しめることをしたい

―今後の目標について教えてください

2019年9月に開催した第10回ミニ大通お散歩まつりには、約1万人が来場してくれました。現在は、第11回開催に向けて今後どのような形で活動していくかを実行委員会全体で協議しています。地域の人たちの手でつくられ、たくさんのつながりを生んできたミニ大通お散歩まつりだからこそ、過去10回開催してきた経験を活かし、地域の人たちが交流し合いながら楽しめる場所を提供していくこと、そして何より地域の人に喜んでもらえることをこれからも変わらず続けていきたいと考えています。

ミニ大通お散歩まつり実行委員会(団体ページへ)

ミニ大通お散歩まつり実行委員会
■ 代表者 遊佐高大
■ 住所 非公開
■ 電話 080-4509-3200
■ FAX 非公開
■ メール miniodori@gmail.com
■ ホームページ http://www.mini.bijyu.net/index.html
■ Facebook https://www.facebook.com/miniodoriosanpo/
今後の開催予定

随時HPにてお知らせいたします

取材を終えて

取材中、何度も「地域の人たちのために」という言葉がありました。実行委員の想いは、桑園地区にとってかけがえのない財産となっているのだろうとミニ大通お散歩まつりが歩んできた歴史を伺って感じました。また、お散歩まつりは桑園地区みんなのものであり、どうしたら地域の人々が喜んでくれるかを常に考え、かつ楽しみながら活動していることもとても印象的でした。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年11月27日現在の情報です。