Sapporo Wood Repainters

札幌の景観色にベンチ塗り替え、市民参加のまちづくり

札幌市内の公園のベンチを永く大切に使い続けようと、札幌市の景観色のペンキを使用し、市民の手による塗装イベントを仕掛けるSapporo Wood Repainters(サッポロウッドリペインターズ)の宮川多恵さんに話を伺いました。

Sapporo Wood Repainters 代表 宮川多恵さん

Sapporo Wood Repainters
代表 宮川多恵(みやかわたえ)さん

東京都出身。20代の時に雪に魅せられニセコに単身移住。その後出産をきっかけに札幌に転居。現在は塗料メーカーに勤務。木育マイスターであり、カラーコーディネーターとしても活躍しています。

札幌の、70色の景観ストーリーをもっとみんなに

―活動のきっかけ、想いについて教えてください

札幌では70色の景観色が定められています。70色の景観色には北国ならではのかわいらしいネーミングやストーリーが込められています。当時、大通公園をはじめとした市内公園のベンチは古くなって傷んでいました。「傷んだ木工物を、景観色を使ってきれいによみがえらせたい」と考え、その想いを公益財団法人札幌市公園緑化協会やたくさんの札幌好きの人たちに伝えたところ、賛同を得ることができ、2014年に実行委員会を設立。同年夏から札幌市民憩いの場である大通公園のベンチを塗装することになりました。

―活動内容を教えてください

景観色70色で札幌を彩る活動を行っています。2014年に初めて大通公園4丁目にあるベンチ26脚を塗りました。SNSや新聞などで市民に参加を募り、約60人の市民が参加してくれました。その後も定期的にペンキ塗りを実施し、4年かけて大通公園のすべてのベンチを塗り終えました。2018年は創成川公園の南エリアのベンチも塗り替えました。そのほか、北海道開拓の村の歴史建築の塗装ワークショップを年に1回行っています。また、地域資源である道産木材について知ることができる木育ワークショップなども行っています。

札幌の、70色の景観ストーリーをもっとみんなに (写真左)大通公園のベンチ塗り替え。場所や色の話、塗装のコツなどレクチャーを経てペーパー掛け、塗装を行いました。養生や下地処理などは実行委員会で準備します
(写真右)家族や仲間同士で割り当てられたベンチを塗装。2時間程度で仕上がります

色に込められた札幌の魅力、ストーリーかみしめて

―団体に参加する魅力を教えてください

「札幌のことが大好き」「公共物を永く使うために自分の手できれいに塗り替えられるのであれば、ぜひ参加したい」と行動してくれる市民は多くいます。特に大通公園は札幌市の顔です。色あせて劣化したベンチを札幌の色で塗り替えると、市民にも観光客にも喜んでもらえます。景観色70色のストーリーや意味を学び、地域の魅力を再認識しながら、街を彩る。塗り終わったときの爽快感は格別です。

―運営はどのように行われていますか?

ベンチ塗装イベントの塗料や養生などの下処理の道具購入費は寄付で、イベントの準備はボランティアによって成り立っています。また札幌市の助成金を一部活用し、私たちの活動を発信するためのポータルサイトや冊子、塗装イベントへの参加記念ノベルティグッズを製作し、景観色のことや団体の取組を発信しています。

時間と手間のかかる作業。だから、まちと人、共に成長

―どんな方が団体に参加されていますか?

現在、実行委員会には札幌市内や近郊の社会人を中心とした有志メンバーのほか、札幌市の公園管理事業者である公益財団法人札幌市公園緑化協会、札幌市の景観色を選定したメンバーにも参加いただき運営を行っています。

―運営に参加された方の声を聞かせてください

「住み暮らす私たちの街札幌には季節の情景があります。Sapporo Wood Repaintersのイベントに参加し、改めて札幌の良さに気づかされました」「自分たちが暮らす札幌の公共物を、自分の手で維持していくという貴重な体験をさせていただきました」という声をいただきました。私もイベントに参加された方と一緒になってまちづくりを行うことに喜びと手ごたえを感じています。

時間と手間のかかる作業。だから、まちと人、共に成長 (写真左)2019年実施した創成川公園のベンチ塗装の様子。完成した時の清々しさは格別です
(写真右)これまでに制作した冊子や参加記念品。塗料はメーカーからの寄付によるもの
参加方法について

参加対象/どなたでも参加可能

申し込み方法/電話、Facebook

活動頻度/年3回程度、休日の午後2時間程度

参加費用/会費なし

わがまちの色、ストーリー。塗装でつながる地域発見、全道に広げたい

―今後の目標を教えてください

まずは今の取組を継続していきます。札幌の景観色はまだまだ知られていません。札幌の色とそのストーリーをみんなに知ってもらい、魅力をかみしめながら市民の手で彩っていく活動を続けていきたいです。そして全道の街それぞれに、「私たちの街の色」を選定して名づけ、自らの手で街を彩っていく活動を広げていきたいですね。

Sapporo Wood Repainters(団体ページへ)

Sapporo Wood Repainters
■ 代表者 宮川多恵
■ 住所 北広島市北の里27-18
■ 電話 011-372-3010
■ FAX 011-372-2191
■ 活動時間 平日9時~17時
■ メール s.w.repainters@gmail.com
■ ホームページ なし
■ Facebook https://www.facebook.com/sapporowoodrepainters/
今後の開催予定

2020年の初夏に創成川公園のベンチ塗装イベントを開催予定。

取材を終えて

団体内部に留まらず、いかに市民をまきこんだ活動にするかを考えている様子が伺えました。公共物を大切に使うことはもちろんですが、長く使い続けるための手入れに多くの人が関わることでさまざまな気づきがあることを知りました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年10月16日現在の情報です。