「スポーツ」と「地域」をつなぐ

スポーツがつなぐ絆
大学の人材や施設を活かし、スポーツ・文化活動を展開

特定非営利活動法人 札幌大学スポーツ・文化総合型クラブ(めぇ~ず) 理事 辻みのり(つじみのり)さん

住宅街の中にある大学の立地を活かし、大学の教員や学生といった人材、施設を地域貢献に活用している団体があります。学生がボランティア経験を積む場になっている活動を支えたいー。その想いを伺いました。

特定非営利活動法人
札幌大学スポーツ・文化総合型クラブ(めぇ~ず)
理事 辻みのり(つじみのり)さん

札幌大学職員として大学内で国際交流と地域交流に関わる事業を担う、インターコミュニケーションセンター「SUICC(スイック)」の主幹。大学と海外、及び地域との交流事業を行う傍ら、札幌大学の知的・人的・物的資源を有効活用し、今以上に地域に根差すことを目的に設立された(めぇ~ず)の理事を務める。

地域貢献を通して、大学と地域をつなぐ

―特定非営利活動法人札幌大学スポーツ・文化総合型クラブ(めぇ~ず)を立ち上げた経緯を教えてください。

 大学が持つ施設や人材を地域のために活用したいという想いのもと、2008年に活動を始めました。以来、近隣住民の方々や学生、教員が活動に加わり、スポーツや文化活動のさまざまな講座を開講し、多くの地域住民が参加しています。住宅街の中にあるという札幌大学の立地を活かし、大学と地域がつながる場として活動規模が大きくなる中で、2013年に法人格を取得し大学から独立しました。法人化したことで活動の自由度が増し、さまざまな講師陣への依頼が可能になったため、いろいろな分野の講座を増やすことができました。養蜂活動では、講座発表会などで販売体験実習もできるようになり幅広い活動につながっています。

(写真左)毎回人気のヨガ講座。初心者向けクラスもあり、誰でも気軽に参加できる。(写真右)めぇ~ず講座発表会で、トーンチャイムの音色を披露する受講生。 (写真左)毎回人気のヨガ講座。初心者向けクラスもあり、誰でも気軽に参加できる。(写真右)めぇ~ず講座発表会で、トーンチャイムの音色を披露する受講生。

すべての世代へ多彩なプログラム

―どのような講座を開講していますか?

 すべての世代の方を対象に、さまざまな種類のヨガやエクササイズのクラスが開講されています。ヨガのクラスは初心者から参加できる内容になっており、特に人気があります。また、年間を通してトレーニングルームを開放し、高校生以上はどなたでも利用していただけるため、多くの地域住民がめぇ~ずを利用し汗を流しています。その他にも、手工芸や書道、お菓子作りなど多彩な文化活動の講座も用意しています。お正月飾りやクリスマスのラッピングなど季節に合わせた手工芸品の講座は評判で、地域の方も講師に加わって多種多彩な講座が開かれています。

―札幌大学の学生も活動に参加しているのですか?

 6~18歳の特別支援学級・学校の生徒を対象とした「チャレンジド教室」には、教職を志す札幌大学の学生たちが、ボランティアスタッフとして加わっています。「チャレンジド」とは『挑戦する人』の意味で、チャレンジド教室では身体能力を伸ばす「スポーツ塾」、そして学習能力を伸ばす「学習塾」を開講しています。学習塾では、めぇ~ずのために独自に開発した教材を使い、子どもたちの学びを促します。チャレンジド教室は活動を始めた当初から続いているのですが、毎回、多くの親子が参加しています。

(写真左)チャレンジド教室では、「知」「徳」「体」がバランスよく育つよう、さまざまなスポーツのプログラムも。(写真右)特別支援教育を専門とする教員を中心に、学生スタッフが子どもたちの学習をサポートする。 (写真左)チャレンジド教室では、「知」「徳」「体」がバランスよく育つよう、さまざまなスポーツのプログラムも。(写真右)特別支援教育を専門とする教員を中心に、学生スタッフが子どもたちの学習をサポートする。

―受講生同士のつながりも、生まれているのでしょうか?

 年に一度、めぇ~ずの講座での成果をお披露目する発表会を開催していますが、そこでは異なる講座を受講する方同士の交流も生まれ、そのご家族同士のつながりまで見られるようになりました。これからも地域との連携を深めていきたいと考えています。

新たな福祉活動として、子育て支援を目指したい

―今後の目標を教えてください。

 現在、学内では地域貢献の一環として子育てサロンを開催しているのですが、めぇ~ずでも子育て支援に関する事業に取り組もうとしています。新たな福祉活動として、子育てをしているお母さんやお父さん、地域で子育て事業に参加したいと考えている方などを支援する事業を検討しています。

特定非営利活動法人札幌大学スポーツ・文化総合型クラブ(めぇ~ず) (団体ページへ)

特定非営利活動法人札幌大学スポーツ・文化総合型クラブ(めぇ~ず)
■ 住所 札幌市豊平区西岡3条7丁目3番1号
■ 電話 011-852-9722
■ メール meez@ofc.sapporo-u.ac.jp
■ 時間 10:00~16:00(月曜~金曜)
■ ホームページ http://npo-meez.com/

今後の開催予定

月ごとの開講スケジュールを団体ホームページに掲載。講座に参加するには、団体への入会が必要。参加の申し込み・問い合わせはメール、または電話で受け付け。

取材を終えて

学生のためだけではなく、地域のために大学の持つ人材や資源を有効に活用している好例だと思います。これだけ地域に開かれた大学は、珍しいのではないでしょうか。学生にとっても、こうした活動に加わることで実社会である地域社会とつながりを持ち、自分の能力を活かせるという機会は、とても貴重だと感じました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2017年12月7日現在の情報です。