あるぼら

学生ならではの企画力とフットワークを活かし、復興支援と防災の未来をつくる

地震や台風、水害などの災害をきっかけに復興支援のみならず、日ごろの防災への必要性が再認識されています。学生による復興支援団体「あるぼら」の代表、立川ひかりさんにその取組についてお話を伺いました。

あるぼら 代表 立川ひかりさん

あるぼら
代表 立川ひかり(たちかわひかり)さん

茨城県出身。小学6年生の時に東日本大震災で被災。北海道大学への進学をきっかけに学生による復興支援団体があることを知り「あるぼら」に参加。同団体では代表役の傍ら、広報としてFacebookやTwitterなどのSNS発信、チラシづくりを担っています。

ボランティア活動を通じて、お金をモノに換えて被災地へ

―活動のきっかけ、想いについて教えてください

2011年に発生した東日本大震災の際、「被災地のためになにかやらなければ」と、道内の学生が集まったのをきっかけに「あるぼら」は生まれました。私が参加した動機は、被災を経験したことで大学生活では社会の役に立つ活動をしたいとの想いからでした。東日本大震災が発生した日は小学校の卒業式。サプライズ企画として担任の先生をお祝いしようとしていた矢先に地震が起きました。みんな無事でしたがライフラインが寸断されたなかでの生活は厳しいものでした。北海道大学への進学をきっかけに、学生による復興支援団体があることを知り説明会に参加し、現在に至ります。

―活動内容を教えてください

私たちは現在、主に東北被災地への「モノ」の寄付と、胆振地方でのボランティア活動をしています。東北被災地にはこれまで地域のお祭りで使う餅つきセットやライフジャケット、学校教材、事務用品などを寄付してきました。雪まつりなど地域イベントに学生アルバイトとして参加し、そのお金を原資にしています。また厚真町で被災された農家のお手伝いをしたり、被災地支援団体に同行して被災3町(厚真町、むかわ町、安平町)での活動を行っています。

ボランティア活動を通じて、お金をモノに替えて被災地へ (写真左)さっぽろ雪まつりの活動費で宮城県石巻市の移動支援団体にユニフォームジャンパーを寄付しました
(写真右)さっぽろ雪まつりでのボランティアの様子。「あるぼら」はつどーむ会場で滑り台の補助などを担っています

SNSを活用し、被災地と防災をささえる取組に

―活動ではどんなことに力を入れていますか?

私は2019年、東北の被災地に行き、復興してきた今の被災地の様子を自分の目で見てきました。先輩がつないできた取組を継続しつつ、これからの東北への支援の在り方を模索し、また道内被災地でのボランティア活動にも取り組んでいます。また、これまでの成果としてSNSを活用した防災事例として活動を発表する機会をいただきました。今後は防災への意識を高めていく企画も立案していこうと考えています。

―運営はどのように行われていますか?

運営メンバーは大きく4つの担当に分かれています。寄付金を集めるために参加する地域イベントの実行委員会との連絡を担当するメンバー、被災地で寄付を必要としている地域や施設などを探すメンバー、学生事務局を担当するメンバー、広報を担当するメンバーです。イベントアルバイト前には参加メンバーで交流会を実施。顔合わせやレクチャーを行います。また寄付後には報告会を開催し、スカイプを使って寄付先の生の声を届けるなど活動報告を行っています。

被災地ささえる活動でやりがい大きく、広がるつながり (写真左)厚真町でのボランティア活動の様子。土砂崩れや地割れといった傷跡が残るハスカップ畑で収穫作業を行いました
(写真右)厚真町ツアーには多数の留学生も参加。ボランティア活動を通じて多くのつながりが生まれました

被災地ささえる活動でやりがい大きく、広がるつながり

―どんな方が団体に参加されていますか?

運営、ボランティアには主に札幌在住の学生が参加しています。2019年、私たちが企画した「厚真町ボランティアツアー」には札幌大学など他大学の学生含む40人ほどが参加しました。そのうち10人ほどが台湾からの留学生でした。

―あるぼらに参加された方の声を聞かせてください

「実際に被災地に行ったことで、厚真町のことを知るきっかけになりました」「ボランティアを通じて被災地の方と関わり、皆さん笑顔になっていく姿を目の当たりにすると、やりがいを感じると同時に、もっと笑顔になってもらいたいと感じました」「屋外での活動も多く大変なこともあるけど、普通の大学生では味わえない経験ができました」という声をいただきました。また厚真町でのボランティアに参加した留学生は「親切な気持ちのつながりで北海道との絆が深まりました」と話してくださいました。

団体への参加方法

参加対象/34歳までの方であればどなたでも参加可能

申し込み方法/Twitter、メール

活動頻度/週1回のミーティングと、任意で土日に開催するボランティア活動

参加費用/会費なし

自分たちにできる「防災」についての企画を思案中

―今後の目標を教えてください

今後は2月の「さっぽろ雪まつり」に向けて雪まつり実行委員会などと連携し、前回以上に雪まつりを盛り上げ被災地に寄付を届けたり、ボランティアに向かったりしたいと考えています。また、今後「防災」についての企画を何かできないかとメンバーみんなで議論中です。より良い企画になるよう打ち合わせを進めていきたいと思います。

あるぼら(団体ページへ)

あるぼら
■ 代表者 立川ひかり
■ 住所 非公開
■ 電話 なし
■ FAX なし
■ 活動時間 月曜日18:30~1時間程度
■ メール arubora05@gmail.com
■ ホームページ https://arubora.jimdo.com/
■ Facebook https://www.facebook.com/pg/arubora/posts/
■ twitter ID https://twitter.com/arubora
今後の開催予定

2020年1月末から始まる第71回さっぽろ雪まつりのボランティア活動。

取材を終えて

近年災害被害が増えており、災害に強いまちづくりや防災への対応が被災地の支援と並んで急務となっています。発想と行動力を発揮し、つながりで困難を克服していこうとする団体の想いに、災害に強い国づくりへの期待が膨らみました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年10月16日現在の情報です。