ありがとう♡いのち応援プロジェクト

「命の大切さ」を心で感じる機会を届けることで、命を応援したい

人が生まれるという命の原点を見つめ、「命の大切さ」を心で感じてほしい。1年に1日、普段は当たり前のようで気付かない「生きていることの奇跡」を再確認する機会を提供することで命を応援し、ささえる想いを、ありがとう♡いのち応援プロジェクト代表の佐藤千鶴さんに伺いました。

ありがとう♡いのち応援プロジェクト 代表 佐藤千鶴さん

ありがとう♡いのち応援プロジェクト
代表 佐藤千鶴(さとうちづる)さん

母乳育児相談室ピア代表助産師。1998年から助産師として病院に勤務、2011年に開業しました。母乳育児支援や性の健康教育、ベビーマッサージなど各種講座を開催。国際認定ラクテーション・コンサルタント、からだの科学ファシリテーター、NPOピーチハウス 女性と子どもの元気の輪メンバーとしても活動しています。

生まれてきた「命の大切さ」を心で感じてほしい

―設立のきっかけを教えてください

私を含め、現在のメンバーである助産師3人が「病院の枠を超えた助産師同士の交流や若い助産師が集まる機会を増やしたい」という想いから立ち上げた「じょさんこ」という北海道助産師コミュニティーがもともとありました。その中で、2010年に公開された郷田トモ監督による「子どもは親を選んで生まれてくる」という胎内記憶をモチーフに、命を見つめる4組の夫婦を描いたドキュメンタリー映画「うまれる」を札幌で自主上映したいと考えていたところ、公益社団法人誕生学協会の講師や会員も同じ考えだということを知りました。共に自主上映会を行うため、2012年に「ありがとう♡いのち応援プロジェクト」を発足し、以降、命の大切さを心で感じてもらう機会を提供する活動を続けています。

命の原点を見つめることが前向きに生きる力になる

―活動について教えてください

映画「うまれる」の自主上映会に始まり、10歳を迎えた子どもと親に向けた「にぶんのいち成人式」などの活動を行っています。2012年に初めて行った「うまれる」の自主上映会は午前・午後・夜の3部構成で、それぞれ小さな子どもと一緒に映画を観られるママさんタイムや託児がある回、バースコーディネーターの大葉ナナコさんや産科医の竹内正人さんの講演会を同時開催し、乳幼児を含む合計870人が来場しました。2014年には、午前・午後の両方をママさんタイムとして「うまれる」の自主上映後、初めて1月13日の成人の日にちなんだ「にぶんのいち成人式」を行い、自分がどうやって生まれてきたのかを知る誕生学や式典に、小学校4~5年生の親子24組59人が参加しました。2015年からは毎年1月に小学校4~6年生を対象とした「にぶんのいち成人式」を行っています。また、2015年に「うまれる」の第2弾 「ずっと、いっしょ。」の自主上映会を開催したほか、2019年には日本車椅子ソフトボール日本代表監督の齊藤雄大さんを迎え、競技用車椅子の試乗やブラインドサッカーが体験できる「やってみよう!しってみよう!パラリンピックスポーツ」という小学生限定のイベントと合わせ、「にぶんのいち成人式」内でも講演を行いました。2020年には、さらに車椅子バスケットボールを体験できる「やってみよう!パラリンピックスポーツ」という子どもから大人まで対象としたイベントを予定しています。

命の原点を見つめることが前向きに生きる力になる (写真左)お母さんのお腹の中に宿った命が大きくなり、どのように生まれてくるのかを伝える誕生学
(写真右)競技用車椅子を試乗し、パラリンピックスポーツに触れる子どもたち

―命をささえる活動の意義を教えてください

「うまれる」は、妊娠・出産・育児という命の原点を見つめることで、自分たちが生まれてきた意味や家族の絆、命の尊さ、人と人とのつながり、そして「生きること」を考える作品です。現代は若者の自殺が多いため、2012年の上映会は9月10日の世界保健機関(WHO)が定める世界自殺予防デーにちなんで行いました。「にぶんのいち成人式」では、誕生を通して「自分自身の産まれてくる力」を伝え、自尊感情を育む誕生学のほか、親子で10年を振り返りながら「ありがとう」という言葉を花束のように描く「ありがとうの花束」を親は子どもへ、子どもは親へ向けてお互いに作成し、プレゼントします。ちょうど10歳は思春期に差し掛かるため、「みんなはこんなに愛されて育ってきたんだよ」ということや自分の命の素晴らしさを知り、これから経験するさまざまな出来事を乗り越える力になればと感じています。また、パラリンピックスポーツに触れることは、普段当たり前だと思っている「元気に生活できていることは実は凄いことだ」と気付く機会にもなります。ありがとう♡いのち応援プロジェクトの「いのち応援」には、1年に1日くらい自分の命の大切さを改めて感じ、「明日からも頑張ろう」と前向きになってほしいという想いを込めています。

10年間の成長を振り返り、親子の絆を感じられる貴重な時間

―活動にはどんな方が参加されていますか?

助産師3人と誕生学アドバイザー2人の計5人で活動を続けています。また、映画の自主上映会などイベントの際にはボランティアスタッフを募集し、会場整理や受付などを行ってもらっています。

―運営メンバーの声を聞かせてください

「『にぶんのいち成人式』は、誕生学やありがとうの花束をつくるワークショップなどスタッフとして何度関わっても心温まり、参加される皆さんと一緒に自分自身も命について深く考えることができる大切な一日です。毎回スタッフのメンバーみんなで記念品作成の準備をしていますが、子どもたちが照れながらも普段はなかなか伝えられない感謝の想いを込めて完成させた作品を『宝物になりました』と喜ぶ皆さんの笑顔が原動力になっています。『親子で10年の成長を振り返りながら命に感謝し、親子の絆を再確認できる貴重でぜいたくな時間を過ごせました。ぜひ下の子の時にも参加したいです』と大変好評なイベントなので、たくさんの家族に参加してもらえたら嬉しいですね」という声をいただきました。

10年間の成長を振り返り、親子の絆を感じられる貴重な時間 (写真左)親子がお互いの「ありがとう」の想いを込めて「ありがとうの花束」をつくるワークショップ
(写真右)来場の際、スタッフが撮影した写真を入れた記念品に喜ぶ親子
団体への参加方法

参加対象/活動の趣旨を理解し、賛同してくれる方。ボランティアはどなたでも参加可能

申し込み方法/メール、Facebook

活動頻度/毎年1月、「にぶんのいち成人式」を開催するほか、イベントの企画次第で活動有り

参加費用/なし

本当に必要としている人に「命の大切さ」を知ってもらう機会を届けたい

―今後の目標を教えてください

2012年の設立時はメンバーのうち3人が妊娠しており、その時にお腹の中にいた子どもたちが10歳の「にぶんのいち成人式」を迎えるまでは少なくとも活動を続けたいですね。そして、「うまれる」の監督による最新作映画「ママをやめてもいいですか!?」が公開されたら、また自主上映会を開催したいと考えています。また、今一番感じているのは、もっと多くの方々にまずは活動を知ってもらいたいということです。資金面からチラシを配布することが難しいこともあり、HPやSNSを通じてイベントに参加してくれる方がほとんどなのですが、もしかしたらSNSをやっていなくて情報が伝わっていない方だったり、経済状況や家庭環境など複雑な事情から参加することが難しいと感じている方がいるかもしれません。現在は、毎年活動に該当するような助成金を探して申請することで何とか活動を行っていますが、例えば札幌市や企業、児童養護施設、母子寮などの協力を得て一緒に開催することができれば嬉しいですね。本当に必要としている方々に命の大切さを実感する機会を届けられるよう今後働きかけていきたいです。

ありがとう♡いのち応援プロジェクト(団体ページへ)

ありがとう♡いのち応援プロジェクト
■ 代表者 佐藤千鶴
■ 住所 非公開
■ 電話 080-4504-4494
■ FAX 非公開
■ メール thank.you.inochi@gmail.com
■ ホームページ http://thank-you-inochi.jimdo.com/
■ Facebook https://www.facebook.com/thank.you.inochi/
今後の開催予定

毎年1月に「にぶんのいち成人式」を開催。詳細はHPまたはFacebookにて。

取材を終えて

「にぶんのいち成人式」には、さまざまな親子が参加するそうです。母親と子どもの組み合わせだけに限らず、両親がそろって参加する家庭、一緒に過ごす時間を大切したいという父親と娘、里親と子どもなど参加する親子の形もそれぞれです。しかし、自分がどのように生まれ、これまで育ってきたのかという奇跡を知ることは、参加する全ての子どもが自分自身を愛し、大事にすることにつながります。命を応援し、ささえる活動の重要さを感じました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年12月5日現在の情報です。