「ママを元気に!子どもを笑顔に!」シングルマザー家庭をささえる取組
シングルマザーが子どもと生き生きと暮らせるようささえたい。離婚や死別、別居中などの事情でひとり親家庭となった女性への支援活動を行う、しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道代表の平井照枝さんにお話を伺いました。
しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道
代表 平井照枝(ひらいてるえ)さん
母子家庭の「子」と「母」両方の立場を経験。当事者に寄り添った支援の必要性を感じ、2008年にしんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道を設立。仕事をしながら、1級ファイナンシャルプランニング技能士やキャリアコンサルタントなど数多くの資格を取得し、お金やライフプランニングに関するセミナーの講師も務めます。
北海道でもシングルマザーが安心して話せる場と支援情報の提供を
(写真右)「振袖思い出つくり」では、家庭の事情などで振袖を着られなかった方向けに、着付け、ヘアメイク、写真撮影を行います
―立ち上げたきっかけを教えてください
私は中学生の時に父親を病気で亡くし、母子家庭の「子」の立場となりました。自分自身は何も変わらないものの、就職活動の際には面接官から私だけ父親のことばかり質問され、母子家庭に対する差別や偏見を感じました。結婚後、自分の子どもには同じ思いをさせたくないという気持ちがありましたが、当時20歳だった娘からの後押しもあり、様々な状況から離婚を選択し、シングルマザーとなりました。母子家庭の立場となった離婚当時は「どこに何を相談したらいいか」「どのような支援制度があるか」が全く分からず途方に暮れていました。そんな状況の中、東京で開催された「ひとり親家庭相談員養成講座」を受講をしたことで、北海道でもシングルマザーに対して「安心して話せる場の提供」や「支援情報の発信」など、当事者に寄り添った活動が必要と感じました。周りのサポートもあり、当団体を2008年に立ち上げるに至りました。2019年7月には、全国の仲間と共にさらに連携を広げようと「シングルマザーサポート団体全国協議会」を設立し、各地の当事者の声を行政に届け、政策への意見や提言を行っています。
―団体に参加する魅力を教えてください
当団体は他のたくさんの団体にご協力いただいて、さまざまな活動につなげています。「にこにこキャンプ」は、親の付き添いが必要となる野外活動に参加できない家庭への支援として子どもだけでの参加を可能としています。さらにキャンプ当日の子どもの送迎や食事の提供もあり、シングルマザーがリフレッシュできるような内容です。その他にもNPO法人 おてらおやつクラブやNPO法人 フードバンクイコロさっぽろ、モノバンク札幌などの団体から食糧支援や物資支援を受け、必要な家庭にお届けしています。これらの協力団体にささえられながら、ひとり親家庭向けの多彩な支援活動を行っていることが当団体の魅力の一つだと思います。
(写真右)しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道設立10年を迎え、活動報告をする平井さん
ひとり親家庭だけでなく、多様な家庭との交流で「ささえあう」活動
―シングルマザーをささえる活動内容を教えてください
参加無料・託児付きの「聴きあう会」では、ひとり親家庭相談員やひとり親家庭サポーターが進行役を務め、参加者がお互いの話を聴きあいます。ここでは誰にも否定されることなく、安心して自分の話ができます。当事者同士で話を聴きあい悩みを共有することで「自分だけではない」と励まされます。また、参加者それぞれに合った公的支援制度の紹介も行っています。他にも、シングルマザーが楽しめるイベントとして「シングルマザーの夏休み」を開催しています。イベントではメイクアップセミナーやハンドマッサージなどが無料で受けられ、普段は忙しいシングルマザーがほっと一息つける場になっています。
―母子家庭だけでなく、いろいろな家庭の方と交流できるイベントもありますか?
しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道は、シングルマザーに限らず誰もが子育てしやすく安心して暮らせるよう、ひとり親家庭への理解と支援の輪の広がりを目指して活動しています。開催するイベントの中にはシングルマザーだけでなく別居中や離婚前のプレシングルマザー、シングルファーザー、家族が長期療養中の家庭なども対象にしているものもあります。2019年12月1日に開催した「ワクワク味噌造り」は、親子参加はもちろん小学校5年生以上の子どもだけでなく、ひとり親家庭のお母さんやお父さんだけの参加も多く見られました。イベントではシングルマザーだけでなく多様な家庭と交流し、さまざまな情報交換が行われました。
当事者が運営に関わっているからこそ、本音で話せて共感もできる
―運営にはどのような方が関わっていますか?
運営スタッフの6人全員がシングルマザーの当事者です。みんな仕事をしながら活動を行っています。そのため、活動は週末に限定されることが多く、平日の日中に活動ができないことが悩みどころです。日本のシングルマザーの就労率は高く、参加者の休みが週末とは限らないため、活動の実施時間は今後の課題です。また、イベントは主に札幌市内で行っていますが、限られた地区での活動になっているので、開催区域も広げていきたいと考えています。
―実際に参加された方の声を聞かせてください
「なかなかシングルマザー同士が集まって話す機会がない中、ここは否定されずに安心して話せる場です。自分の言葉に頷いてもらえると、皆さん同じ想いなのだと思えます。また、皆さんのお話しを聴くことで自分だけではないと励まされます」という声をいただきました。
参加方法について
参加対象/シングルマザー、プレシングルマザーなど(年齢不問)
申し込み方法/Webサイトのイベントごとの申し込みフォーム、電話、メール
活動頻度/2カ月(奇数月)に1回「聴きあう会」、年1~2回「ひとり親応援セミナー」、不定期開催で「支援者向け講座」など。詳細はWebサイトへ。
参加費用/会費なし
誰もが子育てしやすく安心して暮らせるサポートをしていきたい
―今後の目標を教えてください
シングルマザー向けには、今後も楽しいイベントを年に複数回行っていきたいですね。支援者講座は、現状では不定期開催となっていますが、支援者同士でつながってほしいという想いがありますので、フォローアップを含めて毎年開催ができればと考えています。また、ひとり親家庭に限らず多様な家庭との交流を深め、誰もが子育てしやすく安心して暮らせるよう支援を続けていきたいと感じています。
特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道(団体ページへ)
■ 代表者 | 平井照枝 |
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■ 住所 | 札幌市北区北8条西3丁目札幌エルプラザ 市民活動サポートセンター事務ブース1 |
■ 電話 | 非公開 |
■ FAX | 非公開 |
■ メール | info@smf-hokkaido.com |
■ ホームページ | https://smf-hokkaido.com/ |
https://www.facebook.com/smfhokkaido/ | |
※専従職員がいないため、電話に出られないことや対応が遅れることがあります。 |
取材を終えて
ご自身の子育てが落ち着き、現在3人のお孫さんがいらっしゃる平井さん。今後は自分のようなシニアシングルマザーへの支援もしていきたいそうです。取材を通して、参加メンバー全員が仕事との掛け持ちの活動で忙しい中、1人でも多くのシングルマザーや子どもをささえたいという、団体の熱い想いが伝わってきました。
(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年11月20日現在の情報です。