子どもの感性や好奇心をくすぐるプレーパークがささえる外遊びの機会
自然の中で子どもが伸び伸びと自由に遊べる機会を提供したい。子どもの発達に欠かせない外遊びを気軽に楽しむことができるプレーパーク(冒険遊び場)を通じて、地域の親子や子育てをささえる想いを伺いました。
さっぽろ冒険遊びの会
事務局 荻島芳明(おぎしまよしあき)さん
子どもの頃にYMCAのキャンプに参加した経験から、大学時代に子どもの遊び支援や自然体験活動のボランティア活動を始め、その後も子育て支援のボランティアを続けている。2012年からさっぽろ冒険遊びの会に顔を出すようになり、2017年に事務局として活動を開始。ちゃいらぼ~Child.labo北海道~では、代表も務める。
子どもの好奇心や創造力を刺激するプレーパークの魅力
―さっぽろ冒険遊びの会が発足したきっかけを教えてください
さっぽろ冒険遊びの会のメンバーの岡村恵子は、もともと東京でプレーパークに取り組んでいました。2009年の札幌転居を機に「札幌でもぜひ実施したい」とプレーパークに関する講座を開催し、そこに西区福井で学童保育を行っている代表の小杉生奈子が参加したことがきっかけとなり、2010年5月にさっぽろ冒険遊びの会を立ち上げました。同年8月に西区福井中央公園にて初めてプレーパークを行い、札幌ではまだプレーパークが知られていないことから「継続して実施したい」「もっと多くの親子に参加してもらいたい」と考え、場所を円山公園に移して活動を続けています。
―プレーパークの魅力は何ですか?
プレーパークとは、自然の中で四季を感じながら子どもが自分たちで遊びをつくることができる「冒険遊び場」です。決まったプログラムはなく、危ないことや物を壊すことさえしなければ基本的に子どもたちがやりたいことをやりたいように遊ぶことができます。例えば公園の落ち葉を使っておままごとをしたり、ロープやダンボールなども子どものアイディア次第で楽しいおもちゃや素晴らしい作品に変身します。中でも、普通の公園にはないハンモックは順番待ちになるほど人気です。事前の申し込みなども一切必要なく、小さな子どもから大人まで誰でも無料で参加でき、活動中はいつ参加して帰るかも自由です。プレーリーダーや世話人と呼ばれるスタッフが子どもたちの様子を見守り、時に声をかけたり一緒に遊んだりしながら、生き生きと遊べるようサポートしています。プレーパークは、子どもたちが伸び伸びと創造的に遊べる場だということはもちろん、遊ぶ中からお母さんが子どもの新たな一面を発見したり、お母さん同士で情報交換をしたり、子育ての大変さから解放されてほっと一息つける場として、お母さんたちの居場所にもなっているのではないかと感じています。
(写真右)公園で拾った松ぼっくりやどんぐりなどを使って、子どもの自由な感性があふれる作品も
参加者の関係性にも良い変化、新たに遊びが生まれる面白さ
―地域の親子や子育てをささえる活動について教えてください
毎年5月~3月、円山公園で月に1~2回プレーパークを開催しており、地域に住む未就園の親子、地域の保育園の子どもたち、祝日や長期休みには幼稚園児や小学生など毎回平均100人ほどが参加しています。最初はそれぞれ家族単位でやって来て、プレーパークで遊ぶうちに自然と話をしたり情報交換をしたり、触れ合うきっかけにもなっています。また、プレーパークの他にも講座などを開催しています。11月4日には、NPO法人あそびっこネットワーク代表の中川奈緒美さんを講師に迎え、子どもの発達や外遊びの重要性、子どもとの毎日の生活を楽しく豊かにするためのヒントなどを交え、子育て世代の親子をささえる講座を実施しました。
―どんな時にやりがいを感じますか?
子どもたちが心から楽しんでくれている時が一番嬉しいですね。初めは親子単位で遊んでいるのでお互いに気を遣っていることも多いのですが、あえてプレーリーダーがその均衡を少し崩すことで関係性が良い方向に変化し、そこからいろいろな遊びが生まれる面白さがプレーパークにはあります。特に最近は外遊びの機会自体も減っているため、自然に親子同士が交流しながら遊べる場は大事です。ただ単に親子で公園に遊びに行くだけでは、子ども同士の関わり方に親の方が遠慮したり緊張したりするかもしれませんが、プレーパークはそういった気遣いを取り払いやすい環境なのではないかと感じています。
「遊び場をよりよくしたい」という想いがささえるプレーパーク
―団体にはどんな方が参加されていますか?
「自分たちの子どもの遊び場をより良くしたい」という想いから始まっているため、市内の団体は母親が中心となって運営していることが多いのですが、さっぽろ冒険遊びの会の特徴としては、男性スタッフも多いです。そのため、子育て中の母親だけでなく、父親も参加しやすい雰囲気になっています。また会のメンバーだけでなく、地域のボランティアさんや他の団体に属するプレーリーダーさんにも手伝ってもらいながら運営しています。皆さん、「安心して自分のやりたいことをして過ごせる環境を、目の前の子どもたちに提供してあげたい」という想いを持って集まっています。
(写真右)四季を感じながら自然と触れ合い、ヘビやミミズなど生き物とも仲良しに
―運営メンバーの声を聞かせてください
「友人に誘われたことがきっかけで2年前から参加しています。プレーリーダーさんが「誰でもどうぞ」と通りすがりの人にも声をかけて歓迎してくれるのが本当に素敵で、親子にとって心地よい場所となっています。様子を見て遊びのきっかけをつくってくれるので、初めて参加した子どもでもあっという間に馴染み、輪に溶け込んで遊ぶことができます。初めての参加は上の子が2歳の時でしたが、今では下の子も連れて親子で参加しています」という声をいただきました。
団体への参加方法
参加対象/どなたでも参加可能
申し込み方法/電話、メール、Facebook
活動頻度/月に1~2回、円山公園でプレーパークを実施
参加費用/会費なし
地域と協力しながらプレーパークの種を広げたい
―今後の目標や夢などを教えてください
現在、「札幌にプレーパークがあることを知ってもらいたい」という当初目標の最低ラインは達成できているのではないかと感じています。そのため、今後は町内会など地域に住む方々ともっと協力し、プレーパークに参加してもらいながら地域が主体となって運営できたら理想的ですね。そして、我々がまた違う公園や地域などにプレーパークの種を蒔くことで活動自体を広め、プレーパークそのものをさらに広めていくことができれば嬉しいと考えています。
さっぽろ冒険遊びの会(団体ページへ)
■ 代表者 | 小杉生奈子 |
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■ 住所 | 非公開 |
■ 電話 | 090-2817-8149(荻島) |
■ FAX | 非公開 |
■ メール | sapporobouken@gmail.com |
■ ホームページ | https://sapporobouken-asobi.localinfo.jp/ |
http://www.facebook.com/sapporobouken |
取材を終えて
いつもプレーパークに参加しているという小さなお子さんたちが荻島さんを見つけるなり、口々に「おぎさーん!」と呼んでいる姿がとても可愛らしかったです。外遊びの機会が減少し、親が子どもに「あれはダメこれはダメ」と言うことが多い中、プレーパークが子どもにとって自然と触れ合うだけでなく自由に遊べる場所であること、また、現代社会で希薄になりつつある人と人との関わりを温かくささえる貴重な場所であると感じました。
(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年11月5日現在の情報です。