特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろ

行き場をなくした商品にもう一度光を当てたい

まだ食べられるにもかかわらず、さまざまな事情で廃棄される食品ロスの問題。行き場をなくした商品にもう一度光を当て、食べてもらえる機会をつくりたい、そしてそれを喜んでくれる方に届けたい。そんな想いで特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろを設立した、代表の片岡有喜子さんにお話を伺いました。

特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろ 代表 片岡有喜子さん

特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろ
代表 片岡有喜子(かたおかゆきこ)さん

幼少期より畑と家畜を見て育ち、牛の世話や食品加工を身近にしていた。大人になり都市部で働くようになってからは、規格外の野菜や生産調整のために廃棄される食品を目にするたびに胸を痛め、食品ロスを減らしたいという強い想いから特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろを設立しました。

大地の恵みを宝物“イコロ”のように扱いたい

大地の恵みを宝物“イコロ”のように扱いたい (写真左)生産者などから寄贈された食品。ここからさまざまな施設に届けられます
(写真右)お米や生鮮食品などさまざまな品が寄贈されます

―立ち上げのきっかけを教えてください

小さなころから母に「必要な分だけとって必要な分だけいただきましょう」と教えられ、当たり前のように育ってきました。近年では農産品だけではなく、工場で製造される食品についても流通段階で多くの食品ロスが生じています。しかしその一方で、さまざまな事情から「今日の食事」に困っている人たちがいます。そんな方々の頼りになる食のセーフティーネットを築き、貧困世帯の孤立を防ぐ方法をつくることはできないだろうかと思ったことが立ち上げのきっかけです。「イコロ」とはアイヌ語で「宝物」を意味します。「大地の恵みを宝物“イコロ”のように扱い、『もったいない』を削減したい」という想いから、友人たちの力を借りながら半年ほどかけ、2018年7月に当法人を設立しました。現在は協賛企業や協力企業も20社以上に増え、スタッフと共に日々精力的に活動しています。

―フードバンクの魅力は何ですか?

生産者や製造者の方々とお話をして、その商品への熱い想いを直接聞くことができることですね。例えば、お米にしてもお菓子にしても、その一つ一つには作り手のさまざまな想いがあります。そんな想いが込められた商品が廃棄されることはとてももったいないですし、必要としている人がいるのならそこへ運ばれるべきだと考えています。食品を届ける際に「いいところ通信」という食品の産地や生産者の情報などを書いた手づくりのプリントを入れて、少しでも生産者の想いが消費者に届くよう願って作成しています。

大地の恵みを宝物“イコロ”のように扱いたい (写真左)和やかな雰囲気の中、ボランティアの方々の手で仕分け作業が行われています
(写真右)生産者からいただいたおいしそうな卵。廃棄されるにはもったいないものばかり

「もったいない」をなくすためにできること

―フードバンク活動の意義はどのようなものでしょうか

テクノロジーの進化やリサイクルに対する意識変化によって、今まで廃棄していた食品が堆肥になったり食器になったりしていますが、私たちはまだ食べられるのであれば食べてもらう機会をつくりたいと思っています。また、フードバンクも地産地消が重要だと考えています。北海道は食料自給率がとても高く、おいしくて新鮮な食品が溢れています。しかし札幌は人口が多いことに加え、最近では観光客も増え、北海道の中でも特に大きな消費拠点であるからこそ、飲食店などから食品ロスが出ていることが伺い知れます。そんな現状にある札幌でフードバンクを行うことに意味があると思っています。「生産者が一生懸命つくった物を、余すところなく丁寧にいただきたい」という想いでまだ食べられる食品を寄付していただき、社会福祉施設や子ども食堂などに届けています。「捨てる」という選択肢の前に「フードバンクに寄付する」という考えを皆さんに持っていただき、少しでも「もったいない」をなくしていくためにも、フードバンクをもっと広めたいと思っています。

―運営にはどのような方が関わっていますか?

広告のアドバイスをしてくれる方や社会保険労務士、行政書士など専門分野を担当してくれる方、ボランティアの方々が関わってくださっています。何か困ったことが起きた時に相談できる相手がいるというのはとても心強いです。ボランティアの方々には、自家用車による食品の受け取りや配達、届ける食品の仕分けや箱詰めなどの作業をしていただいています。

「人」と「食」をつなぐ活動をささえたい

―法人にはどのような方が参加されていますか?

正会員が18人、ボランティア会員が12人、学生ボランティアが4人おります。会員とボランティアを合わせ男性と女性の割合は半々くらいですが、仕事内容には段ボールやお米を運ぶなどの力仕事もあるため男性がいてくれるのはありがたいですね。皆さん何か役に立ちたいという想いで参加してくださっているので、活動もとてもやりやすいです。

―運営メンバーの声を聞かせてください

「今までもったいないことをしてきたんだな、ということを実感しますね。また、まだまだ食べられる食品が無駄にならずに困っている人のところへ届くことで、少しは生産者や食べ物を必要としている方の役に立っているのかなとも思っています。私はテレビで食品ロスの問題を見てこの活動に興味を持ったのですが、活動を始めてから社会とのつながりを多く感じるようになりました。そう思っているボランティアは多いと思います」という声をいただきました。

団体への参加方法

参加対象/高校生以上であればどなたでも参加可能

申し込み方法/メール

活動頻度/週1、2回

参加費用/正会員は年会費5,000円、ボランティア会員は年会費3,000円、学生ボランティア 会費なし

フードバンクを少しずつ大きな活動へ

―今後の目標や夢などを教えてください

フードバンクを通じて「空腹を抱えて眠る人がいない社会」「捨てられる食品を最小限にする仕組み」を実現する第一歩を踏み出すことができました。今後は団体メンバーの登録者数や参加企業を増やしながら届ける食品の内容を安定させ、小さな波を広げていくように少しずつ大きな活動につなげていきたいです。必要なものが必要としている方へ届くよう、さらにきめ細かな対応をしていきたいと考えています。

特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろ(団体ページへ)

特定非営利活動法人フードバンクイコロさっぽろ
■ 代表者 片岡有喜子
■ 住所 札幌市東区北22条東18丁目3-5
■ 電話 090-2815-3947
■ FAX 011-351-5569
■ 活動時間 月・水・木・金 10時~17時
火 10時~14時
■ メール ikor.sapporo@gmail.com
■ ホームページ https://foodbank-ikorsapporo.themedia.jp/
■ Facebook https://www.facebook.com/ikor.sapporo/
今後の開催予定

詳細は団体ホームページまたはFacebookへ。

取材を終えて

近年問題になっている食品ロスの問題を、つくり手側に寄り添って活動する団体の熱意が伝わる取材でした。今後活動が広がる中で、多くの人や団体を結び、札幌の食品ロスの問題を解決する糸口になるのではないかと感じました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年11月22日現在の情報です。