北海道きょうだいの会

同じ悩みを持つネットワークで「きょうだい児」支援の輪を広げる

障がいや病気のある兄弟姉妹を持つ人を「きょうだい児」と呼びます。きょうだい児への支援ネットワーク「北海道きょうだいの会」代表、白石さんにお話を伺いました。

北海道きょうだいの会 代表 白石未佳子さん

北海道きょうだいの会
代表 白石未佳子(しらいしみかこ)さん

同じ悩みを持つきょうだい児たちのネットワークをつくることで差別や偏見をなくし、支援の輪を広げていこうと2018年に「北海道きょうだいの会」を設立。代表の白石さんは茶話会を通じてこれまで悩みを抱えつつも話す場のないきょうだい児の本音を引き出し、支援の在り方や課題解決の方法を探ります。

障がい者の兄弟姉妹の悩みや本音を、語り合える場ってあまりない

障がい者の兄弟姉妹の悩みや本音、語り合える場ってあまりない (写真左)茶話会は札幌駅周辺で開催。ハンドルネームでの参加ができ、終始和やかな雰囲気で語らいが交わります
(写真右)きょうだい児のためのサイトのほか、Twitter、Facebookを運営。きょうだいの会のサイトでは、これまでの茶話会参加者の話題や感想を閲覧することができます

―活動のきっかけ、立ち上げの経緯や想いについて教えてください

私には障がいのある妹がおり、そのことで悩んだり苦しんだりすることがありました。そのため、同じ立場に身を置く人たちはどのような想いを抱えているのか、とても興味を持っていました。そんな中、2018年の春ごろに似た境遇の方との出会いがあり、まさに自分のような人のことを「きょうだい児」と呼ぶことを知りました。そこから、北海道で「きょうだい児」が集まるイベントがあれば参加してみたいと思い、東京に本部のある「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(通称:全国きょうだいの会)」に問い合わせて、2018年の夏に本部にお邪魔しました。お話しを聞いて、札幌でもきょうだい児が集まるイベントを開催したいという気持ちが高まりました。そこで会長をはじめ、スタッフの方にいろいろと教えていただき、10月にTwitterアカウント、Facebookページを作成し、イベントの告知を開始。2018年11月25日に「きょうだいの集い in 札幌」というイベントを開催するに至りました。

―活動の様子を教えてください

活動の中心は定期的に開催している茶話会です。人数は多すぎず少なすぎず、10人前後で行っています。参加者が経験や考えを自由に発言。差別的なことを受けた経験談をきっかけに、どうすればきょうだい児への理解が進む社会につながっていくかといった問題へ話題が進んでいきます。

きょうだい児同士だから話せる本音、気持ちを整理

―団体に参加する魅力を教えてください

茶話会に参加すると年代の違うきょうだい児の話を聞くことができます。他の人の話を聞くことで自己の経験を振り返ることができますし、第三者に話すことで心の整理がつきます。この話し合いを通じて、心のバランスを保つことができることが魅力だと思います。

―運営はどのように行われていますか?

運営は「全国きょうだいの会」にサポートいただき、一人で運営しています。TwitterやFacebookを通じて情報を発信し、定期的な茶話会などのイベントを行っています。私自身、ボランティアで取り組んでいるので、無理をしない程度に長く活動を続けていけるように穏やかな気構えで運営しています。

障がい者の兄弟姉妹の悩みや本音、語り合える場ってあまりない (写真左)帯広から茶話会に参加した方をきっかけに2019年「帯広きょうだいの会」が発足しました。今後もきょうだい児の支援の輪を広げていきたいです
(写真右)茶話会では参加者が不快な思いをさけ、お互いを尊重するため「言いっぱなしで構わない」「批判、説教、政治的宗教的な主張はしない」といった約束事を設定しています

茶話会でのヒントや発見を通じて、支援の在り方を考える

―会にはどんな方々が参加されていますか?

参加対象は障がいのある兄弟姉妹を持つ方々です。皆さんの参加動機で一番多いのは「共通する悩みを抱えている人と話がしたい」。若い方の中には学校や地域のことで今まさに悩んでいる方や、将来に不安を抱えて訪れる方も少なくありません。

―実際に参加された方の感想を教えてください

茶話会に参加された方々は皆さん「気持ちがすっきりした」「整理がついた」と話します。参加するまではずっと悩んでいて、以前から障がい者の家族向けのセミナーがあれば参加したいと思っていた方も多く、本当に支援が足りていないことを実感しますし、参加した方々の話を聞くことで多くの発見があります。

団体への参加方法

参加対象/障がい者のきょうだい児の方

申し込み方法/Webサイトのイベントごとの申し込みフォームより申し込み。または必要事項(氏名または仮名、兄弟姉妹の病名・障がい名、年代、連絡先(メールアドレスやSNSアカウント))を記載の上、Twitter及びFacebookアカウントメッセージにて申し込み

活動頻度/1~2カ月に1回、茶話会を開催しています

参加費用/茶話会は会場代お茶菓子代として1,000円以内

きょうだいのネットワークを広げて、地域や学校から偏見なくしたい

―今後の目標を教えてください

まず、「きょうだい児」という言葉の認知度を上げることが目標です。同じ悩みを持っている方々にきょうだいの会の存在、支援があるという事実をきちんと伝えていきたいと思います。私たちは「北海道きょうだいの会」という名前の通り、全道で地域ごとのきょうだいの会の立ち上げをお手伝いできるような活動をしていきたいですね。インターネットを活用して、地方にいる「きょうだいの会をつくりたい!」と思った方を見つけ、その気持ちを支え実現させていきたいと思います。

北海道きょうだいの会(団体ページへ)

北海道きょうだいの会
■ 代表者 白石未佳子
■ 住所 非公開
■ 電話 050-3503-0420
■ FAX 011-522-7298(北海道きょうだいの会と明記)
■ 活動時間 常時メールにて対応しています
■ メール Webサイトの申し込みフォームより
■ ホームページ https://hokkaido-kyodainokai.net/
■ Facebook https://www.facebook.com/hokkaidokyodainokai/
■ twitter ID https://twitter.com/hokkaido_kyodai?s=17
■ instagram https://www.instagram.com/hokkaido_kyodainokai/
今後の開催予定

2019年度は12月、2月に定例の茶話会を開催。設立1年を振り返る懇親会も11月に予定しています。

取材を終えて

茶話会を進める白石さんは終始穏やかな語りで、初対面の参加者からもこれまでの経験や考えを引き出していました。近年は多様性を受け入れつつある社会で、なお置き去りにされている「きょうだい児」の本音から、普遍的な共生社会を目指すためのヒントがあるように感じました。

(取材・文・編集 株式会社Mammy Pro)
※2019年10月16日現在の情報です。